【講義概要】
「国際関係論」とは、何か。国際関係論を、国際政治学(国際政治史を含む)と同一の内容をもつものと理解する立場と、より広く国際政治学とともに国際経済学、国際法学、地域研究など、いわば国際と名のつく学問を総合的にとらえようとする立場とがあります。尤も、「国際関係」ということば自体は同義語の反復で、日本語の「国際」ということばにすでに「諸国間の関係」(「際」)という意味があります。さらに言えば、「国際関係学」ではなく「国際関係論」という名が用いられている事も、この学問の未熟さを物語っています。「国際学」などという語も用いられていた事があり、一時上智大学国際関係研究所のグループによって試みられた事がありましたが、あまり一般化してはいません。国際関係論とは、その名称はともかく、実際に国際問題を共同研究する学問的組織あるいは教育組織において、いわゆる学際的分野として機能しています。
三〇年ほど前までは、国際関係論の方法的研究に意欲的なのはアメリカの学界で、実証的研究と並んで理論的研究も盛んに行われていました。しかし、そこに提唱される理論の多くは、国際関係のなかのきわめて限られたテーマに関する「部分理論」であり、巨大な国際関係の現実を総括しうる「全体理論」ではありませんでした。できる限りの事象を説明し尽くそうという情熱は、そもそもの国際関係論に欠けるところでした。逆に、国際関係の現実は、いよいよ諸学の総合による解明を必要としています。国際関係論は、日本にあっては輸入学問という色彩が濃いとはいえ、例えば、平和に貢献するという目的意識の明確な平和研究の方向などに研究の前途をみいだす立場が有力となりつつあります。(cf.日本大百科全書)
本講座では、1945年以降21世紀の現代に到る国際関係史を、有賀貞『現代国際関係史: 1945年から21世紀初頭まで』に依拠しつつ、なるべく様々な映像資料も交えて、講じていく事にします。
なお、本講座は、本学のディプロマポリシーである人間、社会、文化、自然等に対する幅広い知識を身に付け、豊かな国際感覚を整え、社会の発展に貢献できることを目指しています。
【学習到達目標】
世界の成り立ちと趨勢の相関関係をよく認識し、新聞、ニュース番組等の内容を、時間的にも空間的にも、より深く理解できるようになる事が、本講義の到達目標です。
【履修上の注意】
まず、テクストの指定範囲を事前に熟読し、よく理解する事に努め、講義内容を聞きながら、自分でノートをとれるようになっておく事が肝心です。
【事前準備学習】
テクストの指定範囲を事前に熟読すると共に、前回までの講義の復習に努める事。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『現代国際関係史: 1945年から21世紀初頭まで』 有賀 貞 東京大学出版会 2019 |
参考書 | その他、必要に応じて講義中に参考文献を指示します。 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
試験70% 平常点30%(出席および小レポートの評価)
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | はじめに | |
2 | ヨーロッパの時代からアメリカの時代へ Ⅰ | |
3 | ヨーロッパの時代からアメリカの時代へ Ⅱ | |
4 | 第二次世界大戦終結前後の世界 Ⅰ | |
5 | 第二次世界大戦終結前後の世界 Ⅱ | |
6 | ヨーロッパの冷戦とアジアの戦争 Ⅰ | |
7 | ヨーロッパの冷戦とアジアの戦争 Ⅱ | |
8 | 西欧帝国主義の終幕と米ソ冷戦の継続 Ⅰ | |
9 | 西欧帝国主義の終幕と米ソ冷戦の継続 Ⅱ | |
10 | ベトナム戦争と米ソ中三国関係 Ⅰ | |
11 | ベトナム戦争と米ソ中三国関係 Ⅱ | |
12 | 第三世界の激動と米ソ・デタントの退潮 | |
13 | 冷戦の終結 | |
14 | 冷戦後の国際関係 | |
15 | アメリカの時代の終わり | |
16 | 定期試験期間 | |