【講義概要】
本講義では、ミクロ経済学の視点から地方財政の諸問題を分析し、加えて今日の国の財政と地方財政との制度的関係について考察した上で、地方財政の問題を公共経済学の見地から分析する。まず、1990年代以降、我が国で進められてきた地方分権改革の経緯を振り返り、その意義と今後の展望について考える。次に、人口の少子高齢化、地方の過疎化と地域間格差や、地方の財政収支の悪化といった地方財政の抱える諸問題について解説する。その上で、分権化定理、地域間外部効果、住民の移動を通じた自治体規模の決定といった理論的問題について考察を行う。
この授業は、経済学部のディプロマ・ポリシー【知識・技能】のうち「経済社会が抱える様々な課題に対する関心と問題意識を持つことができる」こと、「経済学の基礎的専門知識や分析ツールを使いこなすことができる」ことを目的としている。
【学習到達目標】
・地方税や地方交付税など、地方自治体の歳入の構造とその問題点について理解する。
・政府間財政移転を中心とした国と地方の財政関係について理解する。
・財政運営における「限界的財政責任」の意義について理解する。
・国庫支出金制度や地方交付税制度を通じた国による地方公共団体に対する財政調整について理解する。
・地方公共サービスの効率的供給条件について理論的に理解する。
【履修上の注意】
・1年次のミクロ経済学入門や2年次の財政学入門の理解を前提とする。
・静穏な授業環境を維持するために座席を指定する。指定された席に着席すること。
・授業の説明で用いるPower Point のスライド資料をCCS上にアップロードして受講者の便宜を図っている。CCSにアップするPower Point 資料をダウンロードして、該当部分をプリントアウトしたものを授業時に持参すること。
・毎回授業中に当日の授業内容に関する問題を出すので、授業後、CCSのMinutePaperで解答を提出させる。
フィードバックとして、前回出題した問題の解答を次回の授業の開始時に説明を行う。
・さらに、MInite Paper の問題とは別に、その日の授業の復習問題を出題して、授業の中で出席者に解答してもらう。
【事前準備学習】
1年次のミクロ経済学入門および2年次の財政学入門の授業内容を十分復習して、授業内容の理解ができるよう準備する。
授業中に出題した問題の解答を、決められた期限までにCCSの Minute Paper にて提出する。
前回の授業で説明した内容について、CCSにアップするPower Point のスライドで復習をしておく。
次回の講義の学習範囲についても、CCSにアップしたPower Pointのスライドをあらかじめ目を通しておく。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 教科書は使用しない。 |
参考書 | 『地方財政を学ぶ』 水谷 守男・菊池 裕子・宮野 俊明・菊地 裕幸 勁草書房 2017 『基礎から学ぶ地方財政』 小西 砂千夫 学陽書房 2009 『地方財政論入門』 佐藤 主光 新世社 2009 『日本の地方財政』 神野 直彦・小西 砂千夫 有斐閣 2014 『地方財政 [新版] (有斐閣ブックス)』 林 宜嗣 有斐閣 2008 『Basic 地方財政論 (有斐閣ブックス)』 重森 暁・上田 和弘 有斐閣 2013 『地方財政改革の検証』 橋本 恭之・鈴木 善充・木村 真・小川 亮・吉田 素教 清文社 2017 『入門地方財政 [第3版]』 林 宏昭・橋本 恭之 中央経済社 2014 『地方財政システム論 (有斐閣ブックス)』 諸富 徹・門野 圭司 有斐閣 2007 |
指定図書 | 『一覧』 |
【評価方法】
期末試験 70%
平常点(課題の提出・授業態度) 30%
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | プロローグ: 授業予定、授業方針の説明 他 | |
2 | 地方財政の現状と課題 | |
3 | 財政の3つの機能と地方財政 | |
4 | 地方分権の意義 | |
5 | 地方公共サービスの最適供給 | |
6 | 地方行政運営の効率化 | |
7 | 広域行政制度 | |
8 | 地方税体系 | |
9 | 個人住民税と地方消費税 | |
10 | 地方法人課税とその改革 | |
11 | 国庫支出金と地方財政 | |
12 | 地方交付税と財政調整 | |
13 | 地方交付税改革 | |
14 | 地方財政と地方債 | |
15 | 授業の総括と復習 | |
16 | 試験期間 | |