【講義概要】
この授業では、まず、基礎として、体育、スポーツといった基本概念について、その語源、歴史を踏まえ把握する。
ここでは、スポーツに関連する体育とは何か、スポーツは何かといった原理的問いがされる。次に、それらの概念が現代社会でどのように展開、継承されているかを理解しつつ、価値相対主義を踏まえ、様々な価値観を相対化して、現在の事象を正しく評価できる能力を身につけようとする。具体的には、現代の体育・スポーツに関する実際的な現実問題(体育・スポーツ観、ドーピング、指導者、ジェンダー、参加資格、審判、体罰・暴力など)への諸問題を精査していく中で、体育・スポーツに関する自らの価値観を形成していこうとする。
体育・スポーツとの出会いは、幼少期から始まり、保護者、指導者、教員をはじめ、様々な人びとの価値基準に基づく教えの中で、各自が異なった体育・スポーツ環境の中で育んできた。その中で自分自身の体育・スポーツの価値観を形成してきたが、それらが真性、適正であるかそれとも修正が求められるかを確認することが必要である。
その方法としては、自身の価値観を相対化して、批判的検討をすることである。その過程を経て初めて自身の体育・スポーツに関する価値観が評価できるようになる。幅広い教養と総合的な判断力、豊かな人間性は、体育・スポーツの専門家として不可欠な基礎的能力となる。
【学習到達目標】
学修到達の目標は以下のとおりである。
①体育やスポーツの諸問題を理解し、説明できるようになる。
②自分自身の価値観に基づいて、他の人々と意見交換ができる。
③体育やスポーツの基礎知識を用いて、問題解決の方向性が提示できる。
④それぞれの立場に立って考え、意見が対立する人々とも討論できる。
⑤スポーツを通じて、高いコミュニケーション能力を用いてリーダーシップを発揮できる。
【履修上の注意】
自己の体育・スポーツについての既存の価値観を評価するには、まずそれを対象化する必要がある。そのための作業として、他者の価値観との対話は有効な手段である。様々な体育・スポーツに関わる諸問題について、自身の意見を他者のそれと対峙させ、自身の立場を相対化して議論(デベイト)を行うことが有効な手段である。各時間、テーマを決めて、できるだけ受講生同士の意見交換の時間を十分に確保して授業を進める。
【事前準備学習】
本授業では予習・復習に対して十分な時間を割く必要がある。毎回、特定のテーマに基づいて授業が展開される。予習については次回講義のテーマを指示するので、テキスト、配付資料の該当部分に目を通し、関連の新聞記事なども目を通しておくこと。また、セメスターの中間に小テストを課すため、復習も行うこと。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『改訂スポーツ倫理』 近藤良享 不昧堂出版 2019 レポート、定期試験に必須である。 |
参考書 | 『教養としての体育原理』 友添秀則・岡出美則 大修館書店 2016 『よくわかるスポーツ倫理学』 友添秀則 ミネルヴァ書房 2017 『スポーツ倫理』 近藤良享 不昧堂出版 2012 レポート作成、定期試験のため、それぞれの参考書が有益である。 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
授業回数の2/3以上の出席が定期試験を受ける条件となる。その条件をクリアした上で、レポート(20%)、授業態度(参画)(20%)、定期試験(60%)による総合で評定する。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | オリエンテーション | |
2 | スポーツ・体育とは何か | |
3 | 手つなぎゴール、不健康は悪いことなのか | |
4 | なぜドーピングは悪いのか | |
5 | ドーピング検査・方法の問題はないか | |
6 | 若返り、健康、役作りに薬物・サプリメント使用は認められるか | |
7 | なぜオリパラ(オリンピック+パラリンピック)にならないのか | |
8 | なぜ性別確認・女子用ルールが必要なのか | |
9 | ビデオ判定によって失われることは何か | |
10 | 保健体育の教員の仕事は、体育授業か、運動部活動か | |
11 | プロスポーツ選手はスポーツ指導ができるのか | |
12 | 暴力とタックルとの違いはなにか | |
13 | 無気力試合・八百長は許されるか | |
14 | 強制的に部活動の休養日を設ける必要があるか | |
15 | オリンピックに出場するために国籍を移動することは許されるか | |
16 | 定期試験期間 | |