【講義概要】
2018年4月国の環境保全に関する総合的かつ長期的な計画を定める「第五次環境基本計画」が閣議決定された。計画の概要iのなかで、日本が抱える諸問題は相互に関連して複雑化しており、持続可能な社会の構築のためには、「環境・経済・社会」を統合的に考えて具体的な対応策を講じる必要があると述べられている。そのための環境政策の展開は、SDGsiiやパリ協定iiiなどの国際的な潮流を踏まえ、技術革新を創出し、経済発展を促すとともに少子高齢化や人口減少など社会的課題との同時解決を目指すとしている。一方、われわれを取り巻く現代の環境問題の解決には、既存の社会システムや制度の枠組みでは対処に限界があり、新たな理念や価値観への転換、行政と市民、NPOや事業者等との「協働」などが模索されている。環境問題の解決を困難にしている要因はなにか、また問題の解決のためにはどのような政策や制度を導入することが有効なのか。こうした問いへの答えを考えるためには、環境政策の基礎的理解を深め、横断的な思考を養うことが重要である。
そこで本講義では、環境・経済・社会の政策統合を念頭に、環境政策に関する国際的な議論の動向を概観し、基本的な知識の習得のために日本における環境問題の変遷や法制度について、また合意形成の過程での市民参加や協働の意義について解説する。さらに実務の現場で行われている地球温暖化対策の具体的な事例を取り上げ、環境問題の現状と課題について講義する。
i https://www.env.go.jp/press/files/jp/108981.pdf参照。
ii 2015年9月ニューヨーク国連本部で開催された「国連持続可能な開発サミット」で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の17のゴールと169のターゲットからなる、持続可能な開発目標。
iii 2015年12月パリで開催された第21回気候変動枠組条約締約国会合(COP21)において採択された2020年以降の地球温暖化防止の国際枠組み。
【学習到達目標】
環境を意識した生活習慣を身につける。
身近な環境問題の解決に自ら行動することができる。
国際的な視野で環境を考えることができる。
【履修上の注意】
遅刻・無断欠席・私語は厳禁。また、講義中はスマートフォンの電源を切ること。
【事前準備学習】
毎回講義の最後に次回講義の内容に関して「問い」を出すので、自分なりに調べて「答え」を用意しておくこと。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | -教科書は、登録されていません。- |
参考書 | 『環境経済・政策学の基礎知識』 環境経済・政策学会[編] 有斐閣ブックス 2006 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
試験70%、平常点30%
試験は、期末試験の結果から評価する。
平常点は、毎回講義のテーマに関し簡潔に自分の意見を書いて講義終了後に提出すること(全15回)。提出物の内
容をみて評価する。なお提出が10回に満たないものは不可とする。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 環境政策とは何か | |
2 | 環境と市民運動 | |
3 | 環境法の基礎 | |
4 | 国際環境法の概念 | |
5 | 生物多様性条約 | |
6 | 気候変動枠組み条約と京都議定書 | |
7 | COP21パリ協定の意義 | |
8 | 原子力発電とエネルギーミックス | |
9 | 環境税 | |
10 | 再生可能エネルギー政策 | |
11 | 企業の社会的責任 | |
12 | グリーン・イノベーション | |
13 | 自治体環境政策 | |
14 | ローカルアジェンダ21 | |
15 | SDGsの基礎 | |
16 | 定期試験期間 | |