【講義概要】
本講義では歴史上存在した「制度」と「組織」が経済発展にどのような影響を与えてきたかを解説し、今後経済の持続的発展がどのような制度や組織のもとで達成されるかを考察することが目的である。またそれらの考察を通じて、「経済に関するモデルを構築し簡単な分析が行える」、「歴史上の様々なデータを分析し考察することができる」という2つの能力を習得してもらいます。
世界の歴史を振り返ると様々な「制度」が存在しており、また、様々な「組織」が存在していたのと同じくして、日本でも独自の制度や組織、もしくは他の国とかわらないような制度や組織も存在していた。経済の歴史における日本を世界の中に位置づけることにより、日本の持続的経済発展のためにどのようなことが必要になるかも考察を行う。
本講義は経済学部ディプロマポリシー「知識・技能」の3項目すべての習得を目指している。また、カリキュラムポリシーの3にあるように経済学の応用科目の系統の1つであり、その他の科目の幅広い知識と連動している。
【学習到達目標】
制度と組織の歴史が経済発展にどのような影響を与えたのかを理解すること。
また、これから将来に向けて持続的な経済発展を可能にする制度や組織を分析できるようになること。
簡単な経済のモデルを用いた分析や、データを観察し統計分析を行えるようになること。
【履修上の注意】
マクロ経済学入門・マクロ経済学1が修了していることが前提である。
また、講義の中で数学を用いた経済分析を行うので、
経済数学入門や経済数学を修了していることが望ましい。
さらに、歴史的なデータを観察し分析結果を理解することが必要であるので、
統計学入門や統計学を修了していることが望ましい。
金融の制度や生産の組織、経済の歴史と経済成長との関連を解説するので、
金融論や産業組織論、経済史も履修済、もしくは同時に履修することが望ましい。
【事前準備学習】
講義で用いる教科書である
岡崎哲二著「コア・テキスト経済史(増補版)」を購入し、事前に目を通しておくこと。
さらに各章についてある練習問題も取り組んでおくこと。
履修上の注意で述べた、「マクロ経済学入門」「マクロ経済学1」「統計学」「金融経済学」「産業組織論」「経済史」に関する知識で足りないところがあれば、あらかじめ予習しておくこと。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『コア・テキスト経済史(増補版)』 岡崎哲二 新世社 2016 |
参考書 | 『マクロ経済学(第2版)』 堀敬一 二神孝一 有斐閣 2017 『経済成長』 G. ワイル ピアソン 2009 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
期末試験50% 中間レポート30% 平常点20%
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 「制度と組織」と「経済成長」 | |
2 | 経済成長の測定:クズネッツのGNPの長期推計と成長会計 | |
3 | ソローモデルと技術進歩 | |
4 | 経済の歴史的発展:経済発展段階と宗教 | |
5 | 制度と経済発展1:ダグラスノースと取引コスト | |
6 | 制度と経済発展2:コミットメントとゲーム理論 | |
7 | 市場経済と経済発展1:商業と貿易 | |
8 | 市場経済と経済発展2:日本における市場経済の歴史 | |
9 | 生産組織と経済発展1:産業革命と大分岐 | |
10 | 生産組織と経済発展2:企業統合と取引ガバナンス | |
11 | 生産組織と経済発展3:奴隷制と小作制度 | |
12 | 金融システムと経済発展1:情報の非対称性と銀行 | |
13 | 金融システムと経済発展2:企業統治の様々な形態 | |
14 | 政府のガバナンスと経済発展1:政府機能の有効性と法の支配 | |
15 | 政府のガバナンスと経済発展2:資源の呪いと汚職 | |
16 | 定期試験期間 | |