名古屋学院大学シラバス


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【時間割】

学期曜日時限科目名開講期キャンパスペア単位年次教員名科目ナンバー
1限国際経済学秋A名古屋 22伊沢 俊泰EK2315

【授業情報】

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講義概要

国際経済学はヒト,モノ,カネの国際的な流れに注目した学問です.
扱われるトピック(国際経済問題)もとても幅が広くなります.
現代では多くの新聞記事の中にこうした問題を見つける事ができるでしょう.
 国際経済学で扱うべき主要な問題(分野)をいくつかに類型化するならば,
(1)自由な交換・取引からの利益は?
(2)貿易パターンの決定は何によって決まるか?
(3)保護主義と貿易政策の効果
(4)国際収支の決まり方と不均衡
(5)為替の相場制度と相場の決定
(6)財政金融政策,国際政策協調
(7)国際的な資本の流れ
のようにまとめられるでしょう.
 これらの問題を扱う為に,国際経済学には2つのアプローチ:
・財やサービスの実物取引を扱う,国際貿易理論
・資本取引を含む対外マクロ経済を扱う,国際マクロ(金融)理論
が用意されています.
国際経済学は,それらの現実に対して理論的な裏付けを提供します.
 本講義では国際貿易理論の方にやや重点を置いて進めていきます.
ミクロ経済学でも説明される一般均衡分析の基礎を丁寧に説明した上で,
・貿易がなぜおこるのか
という根源的な問題に対していくつかの側面から深く考えていきます.
そこでは比較優位という概念について
・リカードの比較優位という考え方
・ヘクシャー=オーリンの定理
という 2つの重要な理論が紹介されます.

 また,様々な貿易政策が経済に与える効果については,ミクロ経済学入門で学んだ余剰分析を応用して,
・自由貿易からの利益
・貿易政策のもたらす効果
を確認したうえで,政策導入の目的に対して,どのような政策が望ましいのか,という点まで踏み込みます.
 国際マクロ経済学の範囲では,前提となるいくつかの概念:
・国民総所得(GNI)の概念,国際収支表の見方
・政府の赤字(財政赤字)と国の赤字(対外債務)の違い
・為替レートと為替制度
・経常収支黒字(赤字)と貯蓄投資バランス
を丁寧に学習してから,中央銀行の金融政策や為替介入の効果について,説明する予定です.



【学習到達目標】

・ミクロ・マクロ経済学入門で学んだ分析ツールを開放経済に応用できるよう修得する.
・国際経済の概況を知るためにどのようなデータが有益か、そしてそのデータをどのように入手できるかを知る.
・国際経済問題の背後にどのようなメカニズムが作用しているかを理解する.
・各国で生じる国際通商摩擦(貿易紛争)に対して根拠のない感覚や感情ではなく、理論に基づいた客観的な評価を与えられるように経済学的判断基準を学ぶ.



履修上の注意

1.授業中の私語に対しては厳格な態度で注意する.
2.授業中の教室からの中途退出は認めない.
3.説明を聞かず,ノートを取らず,出席目的だけの学生は単位が取れない.
4.CCSの機能(Minute Paper,教材ダウンロード、クリッカーなど)を頻繁に利用するので準備しておくこと。
5.履修前提科目: 「ミクロ経済学入門」,「マクロ経済学入門」,「国際経済学入門」を履修していることを前提に講義を進めます.
6.並行履修推奨科目: 「ミクロ経済学1・2」, 「マクロ経済学1・2」, 「経済政策論」, 「国際金融論」, 「開発経済学」を併せて履修することを薦めます。
7.学んだ理論は時事的な国際経済現象の理解には欠かせない.実際の国際経済から目を離さない為にも、新聞を読み,現実の経済問題と国際経済学との関係について考えるよう.



【事前準備学習】

・ 「ミクロ経済学入門」,「マクロ経済学入門」の内容を事前に復習して授業に臨むこと.特に「消費者余剰」「生産者余剰」などの余剰分析の手法や「GDP(国内総生産)」の構成要素について基本的な理解がないと修得は困難である。
・「国際経済学入門」で展開した部分均衡による国際経済の分析手法について事前に復習しておくこと。
・毎回の講義で配布されるハンドアウトや資料を講義後すぐに復習し、次回授業に臨む習慣をつけること。



【教材】

※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
  図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書「国際経済学入門」のテキストとして使用した、石川他『国際経済学をつかむ』(有斐閣)を適宜参照しつつ、併せて講義ノートのスライドのコピーを教科書代わりに配布する。
参考書『国際経済学をつかむ』 石川城太・菊地徹・椋寛 有斐閣 2007
『基礎コース 国際経済学』 澤田康幸 新世社 2004
『国際経済学(第3版)』 若杉隆平 岩波書店 2009
『国際経済学』 阿部 顕三・遠藤 正寛 有斐閣アルマ 2012
『通商白書』 経済産業省 経済産業省 各年版
そのほか有益な文献の紹介のため、講義開始時点でリーディングリストを提示します。
指定図書-指定図書は、登録されていません。-

評価方法

期末試験(持込不可)成績70%,平常点(Minute Paper提出などに基づく)30%のウェイトで合計得点を評価する。



【講義テーマ】

回数テーマテーマURL
1[I](Sources of Trade) --- 自給自足から開放経済へ(日本の経験)
2--- 一般均衡モデル(2部門経済)の基礎 ~相対価格、部分均衡との違い~
3--- アダム・スミス の間接交換の利益
4--- デヴィッド・ リカード の比較優位理論
5--- 貿易の利益(一般均衡分析)
6--- ヘクシャー=オリーン=サミュエルソン・モデル の要素賦存比率命題
7--- 要素賦存量と産業構造(リプチンスキー定理)
8--- 価格変化と所得分配(ストルパー=サミュエルソン定理)
9[II](Trade Policy) --- 余剰分析の復習(関税)
10--- 政府の貿易介入の経済効果(輸入割当・補助金)
11--- 戦略的貿易政策
12[III](Open Macroeconomics) --- 国際通貨制度と為替レート
13--- 為替レートと経常収支
14--- 為替レートと資産市場
15--- 講義まとめ
16定期試験期間