【講義概要】
本講義では、「社会事情」そのものを知るという知識よりも、「社会事情」を見るための知識に重きをおいて議論します。つまり、「考え方・思考法」を学びます。
大学で学ぶ知識とは、特に社会科学系においては大きく分けて2つが考えられます。一つがいわゆる専門用語などの一般的な知識です。しかし、この種の知識はあくまでその領域で「皆が知っているから」という前提があって初めて意味があります。例えば、「習慣」もその知識の一つということができますが、日本の習慣が常識として通用するのは日本においてであり、それが海外で通じないことは日常によく見られることです。またこの常識自体も長期的には変化していきます。代表的な例は流行の変化がそれにあたります。したがって、このような知識だけであれば、たとえ在学中に学んだとしても、卒業時にはすでに古い知識となっているということもありえます。このことは、現代のような情報の移り変わりの激しい時代には、特にいえることです。
そして、もう一つの知識、これが重要となります。それは、流行にせよ習慣にせよ、それらが成立し、維持されているときの背後にある理由やメカニズムを問うことです。つまり、「なぜ・どのように」してそれらが成り立ち、また維持されているのか、ということに思考をめぐらすことです。大学は「社会」をみる眼を養う場でありますが、そこで学ぶ知識として重要なことは、単に専門知識を知ることだけでなく、それを手段としていかに思考するか、ということです。こうすることで自らの視点で思考し、解釈することができます。
【学習到達目標】
世の中のできごとについて、「なぜ・どのようにして」このような現状にあるのか、ということに対しての思考力を養う。
あらためて「当たり前」を問う視点をもつ。
新聞や雑誌などさまざまな情報に対して「なぜ?」という視点をもつように意識すること。
【履修上の注意】
講義概要にもあるように、発言などの積極的な参加が求められます。したがって、成績評価は授業への参加度・貢献度が重視されることになります。また、授業運営の妨げとなる私語・携帯電話などには厳しく対処していきます。
【事前準備学習】
日ごろのニュースや、ネット上の自分が当たり前だと思うことに、あえて「これはなぜなのか」という問いをもつ習慣を身につけてほしい。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 特に使用しません。 |
参考書 | 随時、紹介します。 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | イントロダクション:「社会事情」で何を学ぶか | |
2 | 「社会事情」をみるための知識 | |
3 | 「常識」をあらためて「考える」 | |
4 | 「知る」こと、「考える」こと | |
5 | 「思考力」を養うための読書:著者と「対等」で読む | |
6 | 「思考力」を養うための読書:批判的読書の実践 | |
7 | 「思考力」を養うための読書:読書を深める「読解力」 | |
8 | 「思考力」を養うための作文:「書く」ことの準備的段階 | |
9 | 「思考力」を養うための作文:批判的に書く | |
10 | ロジカルシンキングの基礎 | |
11 | 問いの立て方とその展開:「どうなっているか」と「なぜ」 | |
12 | 問いの立て方とその展開:「因果関係」を問う | |
13 | 複眼的捉え方:関係性 | |
14 | 複眼的捉え方:パラドクス | |
15 | 複眼的捉え方:行為の意図せざる結果 | |
16 | 定期試験期間 | |