【講義概要】
・日本史は日本の国の歴史ではない。日本に生まれ、そして育った人々の歴史が日本史である。また日本の地に生活する人々と、それに関わってきた人々の歴史でもあることを学びたい。
・日本史を学ぶにあたり、まず第一に、いつから人々は自分の生活する国を日本と意識し、自らを日本人と自覚するようになったのかを学びたい。
・次いで、自分が日本人であるといわれるためにはどのような条件が必要なのかを考えたい。
・さらに北海道、沖縄県の成立、日清戦争そして韓国併合を契機に獲得した植民地に生活していた人々と日本人の関係を学びたい。
・太平洋戦争中に占領した地域の人々と日本との関わりはどうあったかを学びたい。
・サンフランシスコ平和条約締結後に日本国籍を喪失した人々のその後について学びたい。
・近現代史を学ぶために大事なことは広い視野と柔軟な頭をもって歴史事象をみることなので、日本だけを他国と比べ優れているといってみたり、逆に日本が劣っているなどと狭い視野から主張しないようにしたい。そのためにも残された多くの史料を読み、ありのままの歴史を理解するよう努力したい。
・半年間の短期間の授業であるが、歴史の学習が暗記することではなく、考えることだと実感できるようにしたい。
【学習到達目標】
・自分を日本人だとあたりまえのように思ってきたが、実はそうではなくいろいろな条件が備わって初めて自分が日本人となったのだということを学べるようにしたい。
・また過去には現在よりも広い地域に住んでいた人々も日本人であったことを学べるようにしたい。近年では世界各地からやって来た人々が新たに日本人となっていることについても認識できるようにしたい。
【履修上の注意】
・さまざまな機会を利用して歴史に関わる情報を入手してほしい。歴史書、博物館訪問、テレビ番組、映画、インターネットなどから教えられるところは多いが、インターネットからの入手情報だけが正しいと信じるような単純な考えだけはもたないでほしい。きちんと本を読むこと、史料を解釈することといった地味な学習も重要だということを知ってほしい。
・文献、史料には現在使われないような難しい漢字、語彙、表現などがあるが、少しずつでよいから理解できるようにしておくと、今後の自分の日本史の学習に大いに役に立つと思われるので、辞書などを利用して学んでほしい。
【事前準備学習】
開講前
身近な歴史を学ぶという意味から、すすんで自分の家系の歴史(ファミリー・ヒストリー)について両親、祖父母などから聞き取りをしておいてほしい。
各授業前
前回に配布された史料を読み直しておいてほしい。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 授業時にプリントを配布。授業後にはCCSからもダウンロードできる。 |
参考書 | 『<日本人>の境界』 小熊英二 新曜社 1998 『植民地帝国日本の文化統合』 駒込武 岩波書店 1997 『福沢諭吉のアジア認識』 安川寿之輔 高文研 2009 『戸籍と国籍の近現代史』 遠藤正敬 明石書店 2013 『戦争と知識人』 北河賢三 山川出版社 2003 『近代日本とアイヌ社会』 麓慎一 山川出版社 2002 『幕末・明治期の国民国家形成と文化変容』 西川長夫 新曜社 1995 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
定期試験と宿題の結果で評価する。毎回授業時にプリントを配布しそれを用いて講義するので、講義内容とプリントに書かれたことを、どれくらい理解したかで評価する。出題は論述問題とするので、しっかりとした文章になった解答でないと評価されない。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 近代の欧米諸国と日本との関わり | |
2 | 近代日本の成立 | |
3 | 琉球王国の日本編入 | |
4 | 沖縄県における臣民化教育 | |
5 | 蝦夷地の日本編入 | |
6 | アイヌほか北方少数民族の人々の臣民化教育 | |
7 | 日清戦争時におけると対外観 | |
8 | 植民地台湾と日本人 | |
9 | 植民地朝鮮と日本人 | |
10 | 委任統治領と日本人 | |
11 | 関東大震災と民族差別 | |
12 | 戦時プロパガンダと日本人意識 | |
13 | 太平洋戦争中の日本軍による占領地の人々と日本との関わり | |
14 | 太平洋戦争後の旧植民地の人々の国籍の取り扱い | |
15 | 世界各地からやってくる人々と日本との関わり | |
16 | 定期試験期間 | |