【講義概要】
この講義では、一年次に学んだ「ミクロ経済学」の理論を一段と深く,かつ,できるだけ統一的な分析手法でわかりやすく扱う。即ち,現代のミクロ経済学の理論構造を個々の経済主体の最適化問題という視点から体系的に分析するとともに,受講生が理論の背後にある具体的イメージをつかめるように図解を工夫することで,単線的な理論展開に陥ることがないようにするつもりである。さらに時には受講生に演習問題を与えて考える時間も設けるので,講義の理解を確実なものにしてもらいたい。また、経済主体の需給が出会う市場の分析については、パレート最適の観点から,効率性が達成される場合とそうでない場合に分けて考察する。後者の場合,供給者の数からみた市場構造,外部性の存在が特に重要なトピックとして取り上げられる。
【学習到達目標】
1.需要・供給曲線の背後にある消費者及び企業の最適化行動を簡潔なモデルに基づいて理解し,図解によって説明できるようになること。
2.経済均衡における資源配分の望ましさの評価にあたって,「効率性」に基づく判断ができるようになること,そしてその基準が持つ限界を理解すること。
【履修上の注意】
『ミクロ経済学入門』を修得していること。また,『経済数学』を履修しているか,同時に履修することが望ましい.
【事前準備学習】
『ミクロ経済学入門』の講義資料を復習しておくこと.
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 特に使用しない。 |
参考書 | 『ミクロ経済理論』 荒井一博 有斐閣 2012 『ミクロ経済学』 奥野 正寛 東京大学出版会 2008 『ミクロ経済学 第3版』 西村 和雄 岩波書店 2011 『ミクロ経済学の力』 神取道宏 東洋経済新報社 2014 『新版ミクロ経済学』 武隈愼一 サイエンス社 2016 |
指定図書 | 『ミクロ経済学基礎と演習』 今泉博国, 須賀晃一, 渡辺淳一著 東洋経済新報社 2001.6 『ミクロ経済学理論と応用』 中泉真樹,鴇田忠彦著 東洋経済新報社 2000.6 『市場の失敗と政府の失敗への対策』 八田達夫著 東洋経済新報社 2008.11 『効率化と格差是正』 八田達夫著 東洋経済新報社 2009.8 『ミクロ経済理論 第2版』 荒井一博著 有斐閣 2012.12 |
【評価方法】
定期試験による。試験は、closed book(持ち込み無し)で行う。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 選好関係と効用関数 | |
2 | 無差別曲線による分析 | |
3 | 与件の変化と需要の変化 | |
4 | 所得効果と代替効果 | |
5 | 弾力性分析 | |
6 | 生産技術と生産関数 | |
7 | 生産関数と費用関数 | |
8 | 限界費用概念と供給曲線 | |
9 | 短期費用曲線と長期費用曲線 | |
10 | 消費者余剰と生産者余剰 | |
11 | 市場メカニズムと資源配分の効率性 | |
12 | 独占と政府規制 | |
13 | 外部性 | |
14 | 公共財 | |
15 | まとめと質疑応答 | |
16 | 定期試験期間 | |