【講義概要】
人類は、地球の歴史の中でもっとも繁栄した生物のひとつである。人類の繁栄を支えたのは、進化の過程でヒトだけが獲得した「想像力」と「共感力」である。このふたつの能力によって、人類は世界中に拡散し、それぞれの地で文明を発展させてきた。この授業では、まず「文明」とは何かを定義したのち、地球史におけるヒト（ホモ・サピエンス）の位置付けを行う。次いで、文明を可能にした「想像力」「共感力」とその進化について解説する。そして、現代及び古代社会における文明の諸相（宗教、芸術、物質文化、身体技法）を概観する。さらに、文化の継承に関する最新の知見としての「文化進化」について学び、その実例をみる。最後に、全体をまとめ、人類の未来を考える。
【学習到達目標】
１）文明とは何かを理解する。２）地球史における人類の特異性を理解する。３）ホモ・サピエンスの文明の諸相とその進化、変遷について知る。４）文化進化の概念を理解する。５）これらの知識や理解を通じ、よりよい人間のあり方を考える力を身につける。
【履修上の注意】
いっけんよくわからない内容、自分の実生活にはあまり関係ない内容だと感じても、「とりあえず興味をもって」授業に臨んでください。また、教員の講義内容をうのみにせず、自分の頭で納得できるまで考えてください。納得できないことは質問してください。
【事前準備学習】
毎回、次回の講義の簡単な予告をします。予告で示されたキーワードについて簡単にでよいので調べてきてください。講義後は、自分でとったノートや配布資料をもとに、簡単な授業概要を作成しましょう。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、１週間借りることができます。（一部貸出不可の図書もあります。）
| 教科書 | 教科書は使いません。適宜参考資料を提示したり紹介します。 |
| 参考書 | 『現実を生きるサル、空想を語るヒトー人間と動物をへだてる、たった２つの違い』 トーマス・ズデンドルフ 白揚社 2014
『文化進化論；ダーウィン進化論は文化を説明できるか』 アレックス・メスーディ エヌティティ出版 2016 |
| 指定図書 | －指定図書は、登録されていません。－ |
【評価方法】
平常点（５０％）と定期試験（５０％）で評価する。平常点は毎回の講義で出す課題によって評価する。
【講義テーマ】
| 回数 | テーマ | テーマURL |
| 1 | ガイダンス：「文明」とは何か | |
| 2 | 地球の歴史概観 | |
| 3 | 「人新世」という概念について | |
| 4 | ヒトと他の生物の決定的な違い（１）想像力 | |
| 5 | ヒトと他の生物の決定的な違い（２）共感力 | |
| 6 | ホモ・サピエンスの進化史概観 | |
| 7 | 文明の起源：認知革命 | |
| 8 | 文明の展開：農耕・牧畜 | |
| 9 | 文明の諸相（１）宗教 | |
| 10 | 文明の諸相（２）芸術 | |
| 11 | 文明の諸相（３）物質文化 | |
| 12 | 文明の諸相（４）身体技法 | |
| 13 | 文化はいかに継承されるのか：文化進化論入門 | |
| 14 | 文化進化の実例 | |
| 15 | まとめ：人類の未来 | |
| 16 | 定期試験期間 | |