【講義概要】
テレビや新聞をみていると、殺人罪、窃盗罪、放火罪といった犯罪の報道をよく目にすると思います。もちろん、このような昔から変わらない、誰の目から見てもわかりやすい「犯罪」に対応することは、刑法という法律の重要な役割です。ただ、刑法という法律(刑法典)ができたのは明治40年(1907年)ですので、今から100年以上昔のことです。したがって、法律ができた当時からは想像もできなかったような事態に対応しなければならないようになっています。本講義では、法律一般について基礎的な内容を解説した上で、刑事法をめぐるそのような新しい問題について議論状況を紹介し、皆さんに考えてもらいたいと思います。なお、本講義は、大学ディプロマポリシーに即していえば、現代社会における法律を学ぶことで「人間、社会、文化、自然等に関する幅広い知識を身に付け」、「実社会で生起する様々な課題を正確に理解し、それぞれの学問領域に即して解決策を考えることができる」力を養うことを目的としています。
【学習到達目標】
現代社会において新たに問題となっている法的な問題について、基礎的な知識を身につけることが第一の目標です。その上で、その問題について何が問題となっているかを把握し、それに対する各自の考えを述べることができるようになることを目標とします。
【履修上の注意】
当然のことですが、私語やスマートフォンの操作など、他の受講生の迷惑になる行為は慎んでください。
【事前準備学習】
犯罪や裁判、新しい立法など、日常的に法律に関係するニュースに関心を持つようにしてください。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 教科書は特に指定しません。授業は毎回配布するレジュメ、資料をもとに行います。 |
参考書 | 『現代社会と刑法を考える ※参考書①』 甲斐克則編 法律文化社 2012 『高校生からの法学入門 ※参考書②』 中央大学法学部編 中央大学出版部 2016 参考書①は、刑法をめぐる現代社会特有のトピックについて解説されています。本講義で扱う問題も取り上げられているので、講義の前後に読むと知識・理解が深まるでしょう。参考書②は、身近な法律の問題について、高校生でも読めるように平易に解説されています。 |
指定図書 | 『裁判員制度の立法学』 柳瀬昇著 日本評論社 2009.10 『少年法のあらたな展開 : 理論・手続・処遇』 猪瀬愼一郎, 森田明, 佐伯仁志編 有斐閣 2001.6 『少年法講義 第3版』 丸山雅夫著 成文堂 2016.3 |
【評価方法】
定期試験(60%)と、授業態度や授業中に書いてもらうワークシート及びレポート(40%)をあわせて評価します。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 法律の基礎:法とはなにか | |
2 | 刑事法の基礎①:刑事法の仕組み、役割 | |
3 | 刑事法の基礎②:現代社会における犯罪の状況 | |
4 | 刑事法の基礎③:刑罰制度、更生保護 | |
5 | 刑事法の基礎④:死刑 | |
6 | 立法・法改正による現代社会への対応①:重罰化 | |
7 | 立法・法改正による現代社会への対応②:共謀罪 | |
8 | 法解釈による現代社会への対応①:財産犯の変化? | |
9 | 法解釈による現代社会への対応②:GPS捜査 | |
10 | 刑事司法制度①:刑事裁判の流れ | |
11 | 刑事司法制度②:裁判員制度 | |
12 | 刑事司法制度③:司法制度改革 | |
13 | 現代における刑事法①:少年法とその改正 | |
14 | 現代社会における刑事法②:生命倫理と刑法 | |
15 | 現代社会における刑事法③:医療事故と刑法 | |
16 | 定期試験期間 | |