【講義概要】
地球は一つの有機的共生体として存在している。その中で生命が生存可能な世界を生存圏というが、その物質的構成や共生的構造は地域ごとにきわめて多様である。産業革命以降の経済的発展と人口の急激な増加の結果、この複雑で多様な世界としての国際環境は大きな変動を強いられ、地球環境問題として現在の人類のあり方に再考を迫っている。環境の人為的な変動を低減させるための国際的な取り組みは1992年の国連環境開発会議を頂点として展開され、多くの矛盾と困難をはらみながらも国際協調による安定化の方向性を模索しているのが現状であろう。本講義では、そのような地球環境の現状と変動のプロセスを明らかにするとともに、人間活動がもたらす地球規模の環境変化について紹介し、その解決方法を考える。さらに、日本における地域問題、人口問題とそれらから現出する課題についても議論の対象とし、地域的視点を重視しつつ国際環境を考える思考態度を醸成することも授業の目的としたい。
【学習到達目標】
1. 人類発展と連動する環境史を理解する。
2. 地球環境の変動について、自然史と産業史の両面から理解し、人間活動と環境についての連環を把握する。
3. 地球規模の環境保全を実現するために必要な地域的視点を理解するとともに、具体的な実践活動へつなげる。
【履修上の注意】
授業に参加するに際しては、講義テーマで事前に提示された内容についての予備的学習を求める。授業中は必要に応じて質疑応答を基にした議論を行うので、適切に対応することが求められる。
【事前準備学習】
毎回、事前に提示されたテキストの該当部分を読み込み、内をの概要を理解して授業に臨むこと。
授業後には、授業内で問題となった事項について自己のまとめをすること。
授業に必要な専用ノートを準備し、上記の予習、復習が系統的に集積されるように努めること。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『改訂版 地域生態論』 木村光伸 晃洋書房 2016 |
参考書 | -参考書は、登録されていません。- |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
授業の際の応答、発言、小テストなどを平常点評価とし、全体評価の50%を割り振る。授業最終日以降にレポートを課し、全体評価の50%とし、平常点と合わせて総合評価を行う。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 国際環境とは何か-人間をとりまく環境の多義性- | |
2 | 地域の意味と自らの位置 | |
3 | 環境世界の認識 | |
4 | 日本における環境観 | |
5 | 身近な自然から環境をとらえる | |
6 | アジア的世界における環境認識と実態 | |
7 | 発展途上国の環境問題 | |
8 | 国際的環境理解 | |
9 | 環境理解の歴史 | |
10 | 自然史から見た国際環境 | |
11 | 自然研究と自然理解 | |
12 | 地域活動の国際的意義 | |
13 | 共生論の現代的理解 | |
14 | 共生社会と多様性 | |
15 | 国際的視野に立った環境問題 | |
16 | 定期試験期間 | |