名古屋学院大学シラバス


                シラバス

シラバス 詳細

【時間割】

学期曜日時限科目名開講期キャンパスペア単位年次教員名科目ナンバー
1限企業と社会春A名古屋 21伊沢 俊泰AX1323

【授業情報】

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講義概要

 皆さんは卒業後の進路をどのように考えているだろうか? 皆さんの先輩たちもそうであったように多くの方が企業に勤務するビジネスパーソンとなるのではないだろうか?
 近年、企業と私たちを結ぶ話題は心地よいものばかりではない。長時間労働や低賃金で若者を酷使する「ブラック企業」、不衛生な環境で製造し、健康に有害な異物が混入したファストフード店がニュースに取り上げられたことは記憶にまだ新しい。また、2008年の世界的金融危機(リーマン・ショック)では、自らの儲けしか考えずに危険な証券を売りまくった米国大手金融機関の行動が世界を不安に陥れた。しかし、こうした悪しき行状が企業の全てではない。ほとんどの企業は私たちの暮らす社会に有益なものを提供し,共存共栄を図ろうと努める私たちの重要なパートナーである。
 企業は私たちの社会における重要なプレーヤーである。企業を語ることはそれを取り巻く社会を抜きに考えられない。近年では、「企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility, 略称:CSR)」と言う概念がクローズアップされている。企業が社会のなかで果たすべき責任とは何なのかを考えるものであり、この講義においても重要なキーワードとなる。歴史上、企業を創設した企業家たちは、こうした概念が登場する前から、その精神を標榜し社会に有益な貢献をしてきた。また現代の世界に眼をやれば、公共利益に資することとビジネスで成功することの両方を目指す「社会的企業」と言う存在も見えてくる。この講義では、さまざまな企業の形態と社会との関わりを考えるが、まず最初は「企業」という存在が誕生していった経緯を歴史的に遡って講義が始まる。人類史における画期的な出来事である「大航海時代」や「産業革命」が企業の存在とどう結びつき、社会を変えていったのかをまず振り返ろう。そして20世紀に発達した巨大企業の成り立ちや21世紀に情報通信技術の発達によって変貌していった企業の姿を伝えていく。特に予備知識を必要とせずに教養レベルでの企業理解を経済学や経営学の入門もかねて展開していきたい。



【学習到達目標】

以下の事柄を学習到達目標とします。
1.歴史上および現代社会における企業の位置づけとその責任を理解する。
2.企業と市場取引に関する経済的基礎知識(経済循環と市場経済の仕組み)を確かなものとする。
3.企業にまつわる問題をただ傍観したり、単純に批判するだけではなく、背後の構造的な問題を見て分析する力をつける。



履修上の注意

1.講義に関係のない私語は厳禁。
2.授業中の無断での教室の出入りは厳禁。
3.毎回の授業に必ず出席すること。この講義は継続して受講しないと、理解が困難になる。
4.毎回、授業に関する宿題・課題を出す。宿題・課題の提出は平常点として成績評価に加味するので怠りなく課題に取り組むこと。
5.宿題や課題をこなすために配布されるノートパソコンが必要となるので普段から操作に慣れておくこと。



【事前準備学習】

1.毎日の新聞やニュースに注意を払って,現実の企業や経済社会に関する情報に興味をもつようにしてください。
2.講義内容の復習や補足として、インターネット上のリソースを参照する必要が出てきます。基本的なパソコン操作については「情報基礎」の授業で学んだことをすぐに生かせるよう慣れておいてください。



【教材】

※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
  図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書配布するプリントやスライドのコピーを教材とする。その他必要な文献リストは随時明らかにする。
参考書『(ゼミナール)集中講義 企業を考える(連載記事)』 三品和広 日本経済新聞(学内電子資料「日経テレコン」より閲覧可能 2011年5月
『10万年の世界経済史 (上・下)』 グレゴリー・クラーク 日経BP社 2009年
『経営者の時代(上―アメリカ産業における近代企業の成立)』 アルフレッド・D・チャンドラーJr. 東洋経済新報社 1979年
上記は教科書ではなく参考文献である(図書館に所蔵,もしくは電子ジャーナルとして学内で閲覧可能)。配布するプリントやスライドのコピーを教材とする。その他必要な文献リストは随時明らかにする。
指定図書-指定図書は、登録されていません。-

評価方法

授業中の取組状況の評価や宿題・課題提出による平常点のウェイトを50%
学期末に行われる定期試験(持込不可)のウェイトを50%
とし、両者による総合評価に基づき単位認定する。



【講義テーマ】

回数テーマテーマURL
1イントロダクション:企業と社会の関係を問う意義
2企業とは何か
3大企業と中小企業:データに見る企業の姿
4世界の長寿企業
5企業と市場の関係:フロー循環図
6企業と市場の境界
7取引費用と企業の存在意義(コースの議論)
8取引費用とは何か(ウィリアムソンの議論)
9企業の成長:エンタープライズの誕生
10グローバル化と企業
11オフショアリングの実際
12企業の社会的責任
13CSRの源流: 日米の思想の変遷
14社会的企業の展開
15講義総括
16定期試験期間