名古屋学院大学シラバス


                シラバス

シラバス 詳細

【時間割】

学期曜日時限科目名開講期キャンパスペア単位年次教員名科目ナンバー
3限日本史秋A名古屋 21上野 史朗AX1344

【授業情報】

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講義概要

 日本史を日本の国の歴史と考えることはできない。日本に生まれ、そして育った人々の歴史を日本史というのである。また日本の地に生活する人々と、それに関わってきた人々の歴史と考えたい。
 第一に、いつから人々は自分の生活する国を日本と意識し、自らを日本人と自覚するようになってきたのかを考えたい。
 次いで、日本人は日本周辺の北東アジアの国々・地域の人々と、どのように関わり、どのように観てきたのかを考えたい。
 具体的には、明治維新以降の日清・日露戦争等の戦争に兵士として将校として従軍した者が、近隣の諸地域に赴いた際に、直接見聞したり、経験したことを書き残した文章や日記、書籍・新聞・雑誌等からの情報を読み取ることで、当時の日本人の対外観を探っていきたい。
 近年、歴史教育についてさまざまなことがいわれているが、大事なのは広い視野と柔軟な頭をもって歴史事象をみることだと思う。日本だけがひとり他国と比べ優れているといってみたり、逆に日本が劣っていると狭い視野から主張しないようにするためにも、残された多くの史料を読み、ありのままの歴史を理解していきたい。半年間という短い期間の授業であるが、歴史の学習が暗記することではなく、考えることであることだと実感できれば幸いである。



【学習到達目標】

 自分の誕生以前の日本の地に生活した人々の考え方、生き方、とくに明治・大正・昭和の時代に生まれ、そこで育った人々の生活ぶり、考え方を学ぶのだが、当時の出版物等や、絵画等の資料から北東アジアの人々を当時の日本人がどのように観て、対応していたかを、把握できるようにしたい。
 



履修上の注意

 さまざまな機会を利用して歴史に関わる情報を入手してほしい。歴史書、博物館訪問、テレビ番組、映画、インターネットなどから教えられるところは多いが、インターネットからの入手情報だけが正しいと信じるような単純な考えだけはもたないでほしい。きちんと本を読むこと、史料を解釈することといった地味な学習も重要だということを知ってほしい。
 文献、史料には現在使われないような難しい漢字、語彙、表現などがあるが、少しずつでよいから理解できるようにしておくと、今後の自分の日本史の学習に大いに役に立つと思われるので、辞書などを利用して学んでほしい。



【事前準備学習】

開講前
 身近な歴史を学ぶという意味から、すすんで自分の家系の歴史(ファミリー・ヒストリー)について両親、祖父母などから聞き取りをしておいてほしい。
各授業前
 前回に配布された史料を読み直しておいてほしい。



【教材】

※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
  図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書授業時にプリントを配布
参考書『対外観』 芝原拓自 岩波書店 1991
『日本人と多文化主義』 石井米雄 山川出版社 1999
『福沢諭吉のアジア認識』 安川寿之輔 高文研 2009
『板東俘虜収容所』 富田弘 法政大学出版会 1991
『近代日本の中国認識』 野村浩一 研文出版 1981
『容赦なき戦争―太平洋戦争における人種差別』 ジョン・ダワー 平凡社ライブラリー 2001
『戦争と知識人』 北河賢三 山川出版社 2003
『近代日本とアイヌ社会』 麓慎一 山川出版社 2002
『ある明治人の朝鮮観』 上垣外憲一 筑摩書房 1996
『幕末・明治期の国民国家形成と文化変容』 西川長夫 新曜社 1995
駒込武『植民地帝国日本の文化統合』岩波書店、1997、小熊英二『<日本人>の境界』新曜社、1998、山下重一『琉球・沖縄史研究序説』御茶の水書房、1999、浅川晃広『近代日本と帰化制度』渓水社、2007、遠藤正敬『戸籍と国籍の近現代史』2013、新谷行『松浦武四郎とアイヌ』麦秋社、1978
指定図書-指定図書は、登録されていません。-

評価方法

定期試験と宿題の結果で評価する。教科書ではなく、毎回授業時に配布するプリントを用いて講義をすすめるので、講義内容への理解がどれほどあるかを評価することになる。出題は論述問題とするので、しっかりとした文章になった解答でないと評価されない。




【講義テーマ】

回数テーマテーマURL
1近代国家日本と国際社会
2近代日本と万国公法
3琉球王国の日本編入
4蝦夷地の日本編入
5日清戦争と対外観
6「脱亜論」と文野の戦争
7日清戦争の国民生活への影響
8人類館事件と対外観
9日露戦争前後の対外観
10日露戦争・第1次戦争時の俘虜政策と民衆の対外観
11関東大震災と朝鮮人
12戦意高揚政策とプロパガンダ
13マスメディアの発達と対外観
14第2次世界大戦時の対外観と俘虜政策と民衆の対外観
15情報化社会と対外観
16定期試験期間