【講義概要】
現代の経済学の一つの大きな特徴は、経済統計データの分析が盛んに行われることである。日々の家計・企業・政府の経済活動の結果から得られる経済統計データが多数公表され、それらを用いることによって経済問題の分析が可能になる。興味ある経済問題を実証的に分析したい場合には、分析者はこの問題に関連する経済統計データが記載されている統計書やWebページ等を探し出すことから始める。分析者は、統計書やWebページからデータを集めてから、適切な分析手法を選択して問題の分析を行う。
経済データの利用と分析について、分析者の目的が景気の動向と政府活動の関係であるケースで具体的に説明しよう。代表的な景気の指標としては、実質GDPがある。政府活動のデータとして、政府支出がある。実質GDPと政府支出のデータは『国民経済計算年報』(内閣府経済社会総合研究所編)より得ることができる。このような政府刊行物等からデータを集めて計量経済学的分析を行うことができる。
この講義の目的は、経済統計データの分析に関して基本的な計量経済学の方法論を解説することである。最小2乗法、重回帰最小2乗推定量の統計的性質、正規回帰モデルの標準的仮定、仮説検定について解説する。計量経済学を本格的に学ぼうとすれば、統計学、数学の知識が必要である。この講義では、数理の展開はできる限り簡単なものに限定し、統計学の知識はあまり必要としない。また、現実経済の消費データの計量経済学的分析についても説明する。なお、計量経済学の応用として経済学の実証研究がある。
【学習到達目標】
最小2乗法の考え方と最小2乗推定量の公式を理解する。また、決定係数の計算手順や仮説検定の考え方を理解する。
【履修上の注意】
受講する前に、講義科目の「統計学入門」の単位を取得することが望ましい。講義科目の「統計学」を履修していることが望ましい。教科書を購入しないと、単位取得は難しい。
【事前準備学習】
講義開始前に、数列、指数関数の知識について、復習するのが望ましい。統計学入門に関する復習も必要である。毎回の授業終了後、授業内容の復習が必要である。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『初歩からの計量経済学 第2版』 白砂堤津耶 日本評論社 2007 上記教科書を予定していたが、教科書の在庫がないのが分かった。そのため、教科書なしで授業を行う予定である。 |
参考書 | -参考書は、登録されていません。- |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
目安として、定期試験100%で評価する。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 計量経済学について | |
2 | 数学の準備(数列、数列の和) | |
3 | 数学の準備(指数関数、積分) | |
4 | 線形回帰モデルと最小2乗法の考え方 | |
5 | 最小2乗法の原理と最小2乗推定量の導出 | |
6 | 最小2乗推定量の計算 | |
7 | 決定係数の説明と計算 | |
8 | 重回帰モデルへの拡張と自由度修正済み決定係数 | |
9 | 正規分布 | |
10 | 正規分布とt分布 | |
11 | 誤差項分散の推定量 | |
12 | 仮説検定 | |
13 | 仮説検定の応用 | |
14 | パソコンによる回帰分析の応用 | |
15 | まとめ | |
16 | 定期試験期間 | |