名古屋学院大学シラバス


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【時間割】

学期曜日時限科目名開講期キャンパスペア単位年次教員名科目ナンバー
2限外国史概論春A名古屋 21名城 邦夫EQ1402

【授業情報】

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講義概要

 15世紀20年代にポルトガルによって大航海時代が開始され,ヨーロッパは世界規模の市場経済を生み出すことになった。ポルトガル、スペインの世界帝国は16世紀中に後退し、新たに北西ヨーロッパの主権国民国家オランダの台頭によって近代社会は始まりを迎えた。オランダの早熟な市民社会の形成はアムステルダムを中心とする資本主義世界経済体制を生み出すことになった。オランダは独特の国家体制と強大な海軍力と商業上の支配力によって世界経済の中心に位置し、アムステルダム銀行を頂点とする近代資本主義経済を生み出し、海外植民地を建設していった。しかしながら、国家体制の脆弱性と人口規模の少なさ等の問題から17世紀末から18世紀に初めにかけて世界経済の中心から後退し、イギリスの台頭を見ることになった。イギリスはそれまでの都市手工業中心の経済から農村手工業による世界的需要の獲得に成功し、国内資源の豊富さによる製鉄業の発達さらには海運業の発達によってオランダの支配を覆し、世界帝国を築くこととなった。
 以上を前提に講義においてはアメリカ史に関する講義を行う。その際以下の視点から講義する。現代アメリカ社会を歴史的に形成されたアメリカ特有の「文化構造」によって説明する。ヨーロッパ、とりわけイギリス・ピューリタリズムを基盤として成立したアメリカの価値体系は新大陸植民地として社会を形成していく過程でその性格を大きく変えていき、植民期末期、独立戦争当時にはヨーロッパとは非常に異なる「文化構造」を形成していた。このような文化構造は独立戦争から南北戦争にかけて形成され、これが歴史的過程を経て変容していった。以下、アメリカ史の重要事象の「文化構造」による規定と、その事象自体によって「文化構造」が変容し、いかにして現代アメリカ社会が形成されていったかを社会経済史と「文化構造」論の総合によって検討する。



【学習到達目標】

 16世紀ヨーロッパにおける資本主義世界経済の成立と主権国民国家の確立による世界史の構造転換に注目し、オランダ中心の資本主義世界経済がイギリス中心に移行する過程を概観し、その後世界帝国を築くことになるアメリカの成立と発展を詳細に述べる。それぞれの時代、世界経済の中心の地位を巡ってオランダ、フランス、イギリス、ドイツ、アメリカが覇を競い、それぞれの主権国家形成の相違による内的発展の性格によりその位置が決定された。オランダ、イギリスと比較し、現代世界経済を特徴付けることになるアメリカ社会の特質を解明することによって現代社会の特徴を理解することを目指している。



履修上の注意

授業における発表を重視し、課題レポートの内容も加えて評価する。



【事前準備学習】

ヨーロッパ列強の世界進出とアメリカ国家の成立、宗教と資本主義経済の関係等を学習するので植民地支配、アメリカ独立戦争、南北戦争、セクトについてあらかじめ調べておくこと。



【教材】

※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
  図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書-教科書は、登録されていません。-
参考書『アメリカ経済史 Ⅰ』 鈴木圭介編 東京大学出版会 1988年
『アメリカ経済史 Ⅱ』 鈴木圭介 東京大学出版会 1988年
『図説大航海時代』 増田義郎 河出書房新社 2008年
『植民地時代アメリカの宗教思想』 増井志津代 上智大学出版会 2006年
指定図書『近現代(大学で学ぶ西洋史)』 小山哲 [ほか] 編著 ミネルヴァ書房 2011.4
『古代・中世 古代・中世(大学で学ぶ西洋史)』 服部良久, 南川高志, 山辺規子編著 ミネルヴァ書房 2006.8

評価方法

報告、レポート、授業態度等によって評価する。



【講義テーマ】

回数テーマテーマURL
1大航海時代、ポルトガル、スペインの植民活動
2オランダ、フランスの植民活動
3イギリスの植民活動とピューリタン
4植民期アメリカの経済発展とアメリカ的人間類型の形成
5西漸運動とアメリカ憲法
6アメリカ資本主義と南北戦争
7アメリカ産業革命期におけるボストン・ニューヨーク企業家類型の意義
8アメリカの経済発展と宗教
9アメリカ独占形成期の人間類型 カーネギーとモルガン
1020世紀初頭アメリカンシステム(大量生産大量販売)の形成とフォード
11アメリカ独占資本主義の確立
12現代資本主義とアメリカ人―市場経済信仰の行方
13学生による報告:「アメリカ植民地の発展と宗教思想」と討論
14学生による報告:「南北戦争後の南部の状況」と討論
15学生による報告:「20世紀アメリカと宗教」と討論
16定期試験期間