【講義概要】
リハビリテーション医学を学ぶためには、人体の構造と機能及び心身の発達の理解は必須となる。人間発達学の理解の中心は、「人の一生は生涯発達ととらえる」ことである。ライフステージにおける身体、運動機能、認知、情緒・社会的機能の発達を、小児期を中心として理解する。
主単元は、1)人間発達の概念、2)ライフステージにおける各機能の発達過程に分け、1)では、発達の定義、発達過程と用語、小児期の発達概念と理論の歴史的変遷を習得する。2)では、胎芽・胎児、乳児期の発達課題を理解し、幼児期は、家庭内で保護されている存在から社会へと出て行くための大切な時期であることを理解の中心に置き、身体的、運動的、認知的機能、情緒・社会的機能の発達過程をピアジェ及びエリクソンの発達理論で理解する。
加えて、乳幼児期の発達過程は、遠城寺式乳幼児分析的発達検査表(以後、遠城寺式検査表)を手本にして、歴年齢における具体的な特徴を「即言える」までを学習目標とする。講義内容は、乳児期、幼児期、学童期が中心となるが、胎児期、青年期、成人期、高齢期についても関連して理解する。
人間発達学を学ぶことによって、カリキュラムポリシーに基づいて、近接する臨床医学としての小児科学、さらに専門科目としての小児の理学療法に繋がる生きた知識を習得することを最終課題としたい。
【学習到達目標】
1.発達の定義、発達過程と用語を説明できる。発育の4原則を理解し、スキャモンの臓器別発育曲線の特徴が言える。
2.発達理論では、運動機能ではゲゼル、マックグロー、認知機能では、ピアジェ、心理社会的では、エリクソンの各発達理論の概要を説明できる。
3.胎芽・胎児期の発育過程の特徴を説明できる。乳児期、幼児期までの各段階における運動機能、認知的機能、情緒・社会的機能の発達の特徴を、「遠城寺式検査表」を手本として、「即言える」までを学習目標とする。
4.学童期、青年期、成人期、高齢期の各期における発達課題と身体・生理的機能、及び認知・心理・社会的機能の発達の特徴をおおまかに説明できる。
【履修上の注意】
1.講義を履修する注意点の第一は、受け身ではなく積極性である。人間発達学に興味を持って臨んでほしい。
2.毎回、レジュメを配布するが、ノートをとって理解しながら進んでほしい。試験直前になって慌てないようにしてほしい。
3.私語は禁じる。周りの人に迷惑をかけないように注意すること。
4.授業態度も評価に入る。
【事前準備学習】
1.シラバスは事前に読んで講義概略を把握してほしい。
2.授業で配布する資料(レジュメ)を事前に教材ボックス(CCS)にPDFに て掲載する。受講前・後の学習に役立ててほしい。
3.講義で学んだことを復習することは重要である。ノートを読み返し、教科書、レジュメ(毎回配布する)にも目を通し復習と予習をしてほしい。
4.講義の中で、レポート課題を求めることもある。興味のある事項は、関連図書、文献検索も試みながら、知識を豊富にしてほしい。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『人間発達学 3版』 福田恵美子 中外医学社 2014年 授業はスライドを用いて進める。そのハンドアウトや配布する関連資料も教材とする。 |
参考書 | 『生涯人間発達学(改訂第2版増補版)』 上田 礼子 三輪書店 2012年 『リハビリテーションのための人間発達学』 大城昌平 メディカルプレス 2014年 『イラストでわかる人間発達学』 上杉雅之 医歯薬出版(株) 2015年 『運動発達と反射ー反射検査の手技と評価』 Barnes MR.,etal.:真野行生監訳 医歯薬出版(株) 1995年 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
筆記試験、レポート課題、授業態度をもって、総合的に評価する。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 人間発達とは、成長と発達の違い、発育の4原則、発達概念の歴史的変遷、発達理論 | |
2 | 胎芽・胎児期および乳幼児期の発達ー反射と随意運動 | |
3 | 乳児期の発達:身体、運動機能、情緒・社会性、言語機能の発達 | |
4 | 幼児期・前期(1歳~3歳)の発達 | |
5 | 幼児期・後期(4歳~6歳)の発達 | |
6 | 学童期、青年期、成人期、高齢期の発達 | |
7 | 人間発達学(乳児期~幼児期)の国家試験の問題を解いてみよう | |
8 | まとめ 筆記試験 | |