【講義概要】
「どんなことにも様々な考えがある」と言われれば、多くの人が自然にうなずくことでしょう。「多様性」とは、今や聞き慣れた言葉であり、国際関係はもとより人間社会における基礎的概念となっています。ただし、そのことの意味を誰もが本当に受けとめているかどうかは別問題です。一方で理念的には多様性の概念を受け入れつつも、他方でしばしば自分自身の考えや感じ方、あるいは習性を無意識のうちに絶対視してしまうことは、よくあることです。「哲学」は何ごとについても無条件に、すなわち自分自身の思い込みを可能な限り捨て去り考え続けることです。
本講義では、人間の様々なあり方を、そのような意味において「哲学的に」考えていこうとするものです。一回の講義毎に私たち人間の知り方、学び方、生き方に関するテーマを取り上げ、受講生とともに考えてゆきます。その中で、自然に哲学や倫理の諸問題と基礎知識が得られるようにします。
本講義は、本学のディプロマ・ポリシー(全学)のうち、「人間、社会、文化、自然等に関する幅広い知識を身につける」こと、「論理的思考力等の技能を身につける」こと、それらを通して「思考力・判断力」を涵養することを目指します。また毎回レポートを書いてもらいますので、「表現力」の養成ともなるでしょう。
【学習到達目標】
私たちの日頃の何げない思考、行動、判断の中にも、「良さ」、価値を求める人間の構造が隠されています。この授業は、普段明確には意識していない、その構造を意識化することを目標とします。また、そのようなことを考えることによって、思考の柔軟性を身につけることをも目的としています。
【履修上の注意】
私語厳禁・時間厳守を徹底します。授業開始時刻に入室していなければ遅刻とします。また座席指定です。いずれも真面目に取り組もうとする学生の環境を守るためですので、ご理解下さい。
【事前準備学習】
授業時に配付したプリントを復習し、その要点を確認しておくこと。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | -教科書は、登録されていません。- |
参考書 | 『人間の考え方の哲学』 森保治 文芸社 『デカルトの誤り』 アントニオ・R・ダマシオ 筑摩書房(ちくま学芸文庫) |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
各回の授業の最後約20分間で、その回の授業内容のレポートを提出してもらいます。各回のレポートの出来を点数化し、その合計に学期最後の定期試験の点数を加算して評価します。欠席6回で失格とします。
各回のレポートの点数は一介の授業ごとにCCSでお伝えします。細部については第1回授業で説明します。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 成績評価方法、哲学という言葉 | |
2 | 「なぜ」と問い続ければ | |
3 | 答えが一つになることの裏には | |
4 | 行動の「良さ」の基礎を考えること | |
5 | 答えのない問い | |
6 | 「見えないもの」について考えること | |
7 | 中間者としての人間 | |
8 | 「身体記憶」としての人間の心 | |
9 | 「無意識」をどう理解すべきか | |
10 | 存在そのものの価値 | |
11 | 感情の意義 | |
12 | 心のトレーニング | |
13 | 脳と心 | |
14 | 人間のあり方の構造 | |
15 | 生きてゆくための知識 | |
16 | 定期試験期間 | |