名古屋学院大学シラバス


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シラバス 詳細

【時間割】

学期曜日時限科目名開講期キャンパスペア単位年次教員名科目ナンバー
3限消費者法秋A名古屋 23今井 潔LG3323

【授業情報】

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講義概要

 この授業は消費者法、すなわち我々の消費生活にかかわる法の総体について概説するとともに、消費生活上現在生じている注目すべき具体的な法的問題について詳説するものです。消費者法は、「消費者法」という名称を付して編纂された独立の法典として存在するものではありません。消費者法は、さまざまな消費者問題に対応するために新たに制定された特別法(消費者契約法、特定商取引法、消費者安全法、消費者裁判手続特例法など)のほか、別の目的で制定された既存の法律に消費者保護の規定を取り入れたもの(旅行業法、食品衛生法、宅地建物取引業法など)や、民法・商法・行政法・手続法・刑法など一般法上の、消費者問題にかかわる諸規定・制度、さらには関連する慣習法や諸団体の自治規則に至るまで、消費生活にかかわるさまざまの形式の法から成る、消費者保護に関する法規の総体(複合体)ということができるでしょう。
 この授業では、まず我が国の消費者問題の顕在化・現状・特質と、それに対応する消費者法の生成・展開・特性を考察するとともに、消費者法体系の基礎におかれている消費者像や、基本理念・基礎概念・定義等につき消費者基本法によって明確にします。また、消費者法とそれに対する一般法としての民法、民訴法、行政法等との関係を考察して、消費者法の輪郭を明らかにします。次に、消費者法を形成している、消費者契約法、特定商取引法など、個々の特別消費者法の目的・内容・機能等について明らかにします。その後に、金融商品取引、不動産取引、医事紛争など、実際に多発している消費者問題ごとに、消費者法がいかに対応しているか考察し、かくして、消費者法の全体が法制度の面と実働面の両面から明らかにされます。習得した消費者法に関する知識を実際の消費生活にあてはめて問題解決の方法を見つける力を養うために、できるだけ多くの判例・事例を検討します。



【学習到達目標】

第一段階:消費者法とそれに対する一般法としての民法・民訴法・行政法等との関係(消費者法の輪郭)、消費者法を形成している個々の特別消費者法の目的、内容、機能等(消費者法の内容)について理解している
第二段階;金融商品取引、不動産取引など具体的消費者問題ごとに消費者法がいかに対応しているか(消費者法の実働)理解している
第三段階;具体的事案について適用さるべき法が消費者法であることを見つける力(さらにはそれを適用して正しい解決を得ることができる力)を身につけている。



履修上の注意

・この授業は、下記指定の教科書(中田・鹿野編著『基本講義消費者法』)によって行われます。この授業が対象とする消費者法の全領域を包括的に規律する法律は単独の法典としては存在していません。消費者法は様々な形式の多数の法によって形成されている複合法ですから、体系性をもって著述された基本書なしでこれを学ぶことは大変困難です。下記教科書はぜひ入手して熟読してください。
・授業は講義形式で行われますが、意見を求めたり、質問をするときがあります。
・受講者全員に座席を固定してもらいます。授業中の発言などを評価(常にプラス評価)して成績に反映させるためです。
・消費者法を理解することは、民法の限界を理解することであり、民法の限界を理解すれば、消費者法の理解が深まる、といわれます。特に民法の総則・契約法・不法行為法、さらに民事訴訟法を深く学ぶことを勧めます。



【事前準備学習】

授業中に指示します。



【教材】

※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
  図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書『基本講義消費者法』 中田邦博・鹿野菜穂子編著 日本評論社 2013年
この授業は教科書『基本講義消費者法』によって行われます。消費者法は複合法ですから、教科書なしで学ぶことは極めて困難です。
参考書『別冊ジュリスト200号消費者判例百選』 広瀬和久・河上正二編 有斐閣 2010年
『消費者法第4版』 大村敦志著 有斐閣 2013年
『消費者六法2015年版』 甲斐道太郎・松本恒雄・木村達也編 民事法研究会 2015年
『消費者法講義第4版』 日本弁護士会編 日本評論社 2014年
『消費者保護法の理論』 竹内昭夫著 有斐閣 1995年
参考書は新版、改定版等の出版状況をみてさらに指示します
指定図書『消費者法講義 第4版』 日本弁護士連合会編 日本評論社 2013.3
『消費者法判例百選』 廣瀬久和, 河上正二編 有斐閣 2010.6

評価方法

基本的には定期試験によるが(大まかな目安として70%)、授業中の発言など平常点(約30%)も参考にして総合的に評価します。



【講義テーマ】

回数テーマテーマURL
1授業ガイダンス.:消費者問題と消費者法の生成・展開・特性,消費者基本法(消費者法の基礎をなす消費者像・基本理念・基礎概念・定義)
2消費者法と一般法(1):民法・商法・民事訴訟法との関係
3消費者法と一般法(2):行政法・刑法・経済法との関係
4消費者契約法(1):総論(法の意義・目的・適用対象),契約締結過程の規制(情報提供義務,違法勧誘規制・取消権等)
5消費者契約法(2):契約内容規制(不当条項の包括的・個別的規制,約款規制,取締規定と効力規定)
6特定商取引法(1):総論(法制定の経緯,全体像),訪問販売,クーリング・オフ,過量販売契約解除,電話勧誘販売,訪問購入など
7特定商取引法(2):通信販売,インターネット取引。(3):マルチ商法・連鎖販売取引,特定継続的役務提供, NOVA事件最高裁判決など
8消費者信用取引(1):販売信用規制,割賦販売法,抗弁の対抗,個別クレジット契約取消。(2):金銭信用規制,貸金業規制三法,判例法理と立法など
9具体的紛争類型と消費者法の対応(1):金融商品取引規制,適合性の原則,不招請勧誘禁止,金融商品販売法,金融商品取引法
10具体的紛争類型と消費者法の対応(2):不動産取引紛争,宅建業法,品確法。(3):高齢消費者被害,入居一時金償却,次々販売,適量販売など
11具体的紛争類型と消費者法の対応(4):医事紛争,医師,医療機関の義務,免責特約の効力,美容医療
12具体的紛争類型と消費者法の対応(5):複合契約取引における消費者の保護,抗弁の接続,既払金の返還請求等
13消費生活と安全確保(1):消費者の生命身体の被害,消費者安全法,消費生活用製品安全法,各種業法(2):製造物による損害,民法と製造物責任法
14不当景品類や不当表示広告:景表法の一般的表示規制,他に消費者安全法,食品表示法,独禁法,不正競争防止法,景表法と消費者安全法の一括改正
15紛争の解決:民事手続法との不適合部分,消費者裁判手続特例法,特定適格消費者団体による集団的被害回復請求,2段階訴訟など
16定期試験期間