【講義概要】
環太平洋地域は、日本にもっとも密接な隣接地域であり、日本を包含する地域でもある。地中海文化圏を除けば、海洋に沿った諸国の全体を一つの地域として捉える慣習のなかったこれまでの地理的概念では十分に理解されてこなかった一つの大きな世界でもある。この講義では歴史的に人間活動の交流が疎遠であったと考えられてきた環太平洋地域に光を当てることによって、民俗文化交流のあり方を考察するとともに、環太平洋という一つの概念で括られた人間社会の文化的・経済的・社会的諸関係の現代的意義について紹介し、日本文化の将来にとって環太平洋地域がいかに重要な地域的概念になるのかを詳述する。アメリカ合衆国の政治的な変化によってこの地域を取り巻く諸条件も大きく変動するかもしれないという状況下で、この地域における日本の位置を考察することは、日本人自身の問題としても非常に重要な現代的課題であるという認識を深めることも、この授業の重要な使命である。
【学習到達目標】
環太平洋地域を地理的に理解する。
環太平洋という冠のついた経済、社会、文化的協働の中で日本社会が存在することを理解する。
環太平洋諸国の社会のあり方や文化の特徴を理解する。
【履修上の注意】
授業には必ず出席するということが履修の第一条件である。
授業時間ごとに提示される学習内容や情報を的確に理解する。
指示された小テストや感想文・所感などは期限内に必ず提出する。
【事前準備学習】
シラバスあるいは事前の授業で指示された地域や項目についての基礎知識を事前に調べて授業に臨むこと。
授業後の受講者自身がまとめをし、わからないことやあやふやだったことがあれば担当教員に直接、質問をするなど、積極的に授業に参加する体制を構築すること。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | -教科書は、登録されていません。- |
参考書 | -参考書は、登録されていません。- |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
この講義は2人の担当者で行われるから、それぞれの担当者ごとに、授業への参加態度、授業中の発言、小テストや課題、レポートなどを基にそれぞれの分担部分での成績を数値化し、その合計点で客観的な成績評価をする。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | ガイダンス:授業の対象としての環太平洋地域とはどこか | |
2 | 環太平洋の自然環境の多様性 | |
3 | 環太平洋に生きた人々の歴史的な軌跡 | |
4 | 環太平洋における日本の位置づけ | |
5 | 日本から見た海の向こう:アメリカという地域概念 | |
6 | 北アメリカ地域と中南米諸国:人種と民族と国家 | |
7 | 先住民社会と近代国家の矛盾 | |
8 | 環太平洋を一つに地域化するさまざまな動き | |
9 | 中国、韓国:儒教文化の存在 | |
10 | マレーシア、インドネシア:イスラム教文化の浸透 | |
11 | シンガポール:グローバル化と多民族文化 | |
12 | オーストラリア:多文化と英国文化の対峙 | |
13 | ニュージーランド:先住民文化との共存 | |
14 | ミクロネシア・ポリネシア:大国の文化の影響 | |
15 | 台湾:日本文化の影響 | |
16 | 定期試験期間 | |