【講義概要】
国際経済学はヒト,モノ,カネの国際的な流れに注目した学問です.
扱われるトピック(国際経済問題)もとても幅が広くなります.
現代では多くの新聞記事の中にこうした問題を見つける事ができるでしょう.
これらの問題を扱う為に,国際経済学には2つのアプローチ:
・財やサービスの実物取引を扱う,国際貿易理論
・資本取引を含む対外マクロ経済を扱う,国際マクロ(金融)理論
が用意されています.
講義の前提科目である,国際経済学入門においては,既に国際経済問題とはどのような問題か,または世界の貿易はどのように行われているか,を見てきた筈です.
国際経済学は,それらの現実に対して理論的な裏付けを提供します.
本講義では国際貿易理論の方にやや重点を置いて進めていきます.
ミクロ経済学でも説明される一般均衡分析の基礎を丁寧に説明した上で,
・貿易がなぜおこるのか
という根源的な問題に対していくつかの側面から深く考えていきます.
また,様々な貿易政策が経済に与える効果については,
・自由貿易からの利益
・貿易政策のもたらす効果
を確認したうえで,政策導入の目的に対して,どのような政策が望ましいのか,という点まで踏み込みます.
国際マクロ経済学の範囲では,前提となるいくつかの概念:
・国民総所得(GNI)の概念,国際収支表の見方
・政府の赤字(財政赤字)と国の赤字(対外債務)の違い
・為替レートと為替制度
・経常収支黒字(赤字)と貯蓄投資バランス
を丁寧に学習してから,中央銀行の金融政策や為替介入の効果について,説明する予定です.
【学習到達目標】
ミクロ・マクロ経済学で学んだツールを開放経済に応用することができる.
貿易自由化交渉や通商摩擦に対してメリットとデメリットに分けて評価を与えられる.
金融政策が為替レートに与える影響を説明できる。
【履修上の注意】
授業中の私語に対しては厳格な態度で注意する.
説明を聞かず,ノートを取らず,出席目的だけの学生は単位が取れない.
宿題を講義中に出題するので,
翌週までに提出することが求められる.
並行履修推奨科目:ミクロ経済学I, II,マクロ経済学I, II,経済政策論,現代経済学
関連科目: 国際金融論,金融論,欧米経済論
現実の国際経済から目を離さない為にも、新聞を読むこと.
現実の経済問題と国際経済学との関係について考えること.
【事前準備学習】
新聞の1面を欠かさず読むこと。
為替と株の値動きに注目すること。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『基本講義 国際経済学』 黒田知宏 新生社 刊行予定 |
参考書 | 『入門・国際経済学』 石井安憲,清野一治他 有斐閣 1999 『サクッとわかる図解国際経済のしくみ』 清野一治 監修 PHP文庫 2005 『ゼミナール国際経済入門 改訂第3版』 伊藤元重 日本経済新聞社 2005 『国際経済学』 阿部顕三・遠藤正寛 有斐閣アルマ 2012 『不公正貿易報告書』 経済産業省 通商政策局 財団法人 経済産業調査会 2014 |
指定図書 | 『良い経済学悪い経済学 』 ポール・クルーグマン著 日本経済新聞社 ; 山岡洋一訳 2000.11 『経済学をまる裸にする : 本当はこんなに面白い 』 チャールズ・ウィーラン著 ; 山形浩生, 守岡桜訳 日本経済新聞出版社 2014.7 |
【評価方法】
(1)試験100点
(2)平常点
(3)レポート課題点
最終成績は
(1)+(2)+(3)の合計点数で評価します。
合計点数が60点未満は無条件で不可(D)とします。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 講義ガイダンス(入門との違い),部分均衡と一般均衡(相対価格とは?) | |
2 | 【Ⅰ.貿易の源泉】 --- リカードの数値例とPPF, 生産性の違いと貿易パターン | |
3 | --- 国際相対価格の決定(相対需要と相対供給) | |
4 | --- 自由貿易と相対賃金,国際相対価格と国際相対賃金 | |
5 | --- 多数財の貿易パターン,相対賃金と相対的生産性と貿易パターン | |
6 | --- 比較優位と競争力,採算為替レートと貿易パターン | |
7 | 【Ⅱ.貿易政策】 --- 自由貿易の利益(輸入国、輸出国の場合) | |
8 | --- 輸入関税の効果(余剰分析の応用) | |
9 | --- 輸入数量割当の効果(余剰分析の応用) | |
10 | --- 生産補助金の効果(余剰分析の応用),バグワティの政策割当定理 | |
11 | --- 【Ⅲ.国際マクロ経済】 ---購買力平価と為替相場,ビッグマック指数 | |
12 | 金利平価と裁定条件,オーバー・シューティング | |
13 | 実質為替レートと実質実効為替レート | |
14 | 為替安定化政策,金融政策,為替介入 | |
15 | これまでの総括及び最新の国際経済トピックの解説 | |
16 | 定期試験期間 | |