【講義概要】
「政策」にはその実施に関する根拠,効果,影響評価が求められる.そしてそれらの情報は,客観的な理論,あるいは数値として示されなければならない.本講義の第一の目的は,環境政策に関する理論を習得することである.
「なぜ環境問題が起こるのか」という問題に対する経済学的な答えは非常に単純であり,「環境に市場がないから」「環境に価格が付いていないから」というもので十分である.そのような状況では,しばしば環境の過剰利用が起こり,いわゆる「外部不経済」が発生する.このとき,発生している外部不経済をそのままにしておけば,市場は非効率的となるため,何らかの対策が必要となる.そして,その対策が環境政策である.
第二の目的は,政策の実際を学ぶことである.政策実施にあたって,その客観的根拠や影響評価は不可欠であるが,同時に政策実施の利害関係者間で政治的な調整が行われることがしばしばあることも事実である.結果として,当初期待されていた効果が生まれなかったり,新たな課題が生じるといったことも起こる.政策実施にあたって行われる調整のメカニズムとその影響を知ることは,環境政策への理解を深めるにあたってこれもまた不可欠である.
以上の二つを論点とし,本講義では,環境問題が発生する理由とそれに対応するための環境政策について,理論的かつ具体的に議論したいと思います.
【学習到達目標】
受講上の到達目標は,環境問題の発生とそれへの対処のメカニズムを経済学的に理解するとともに,実際に行われている環境政策について学ぶことです。
【履修上の注意】
私語対策という環境政策を実施しなくても済むように,講義中は私語をせず静謐な環境を保つこと.
【事前準備学習】
1年次に履修しているミクロ経済学入門レベルのグラフや式を用いることがあるので復習しておくようにしてください.
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 適宜資料を配布する |
参考書 | -参考書は、登録されていません。- |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
試験 70 % 平常点 30 % 詳細については初回講義時に指示する
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | イントロダクション(講義概要,成績評価,受講上の注意点の説明) | |
2 | 外部性と市場の失敗 | |
3 | 直接規制 | |
4 | 環境税 | |
5 | 環境補助金 | |
6 | デポジット制度 | |
7 | 排出量取引 | |
8 | まとめ・中間試験 | |
9 | 京都議定書とポスト京都議定書 | |
10 | 公害対策 | |
11 | 環境影響評価 | |
12 | 環境税制改革 | |
13 | 国際環境政策 | |
14 | 原子力政策 | |
15 | まとめ・総括 | |
16 | 定期試験期間 | |