【講義概要】
民法第一編、総則について講義する。民法は市民社会の基礎法であり、われわれの生活に密着した内容を有するものである。しかし、他方で民法総則は、民法全体に通ずる通則を掲げるものであるから、抽象的な概念から成る壮大な構成物であり、そのことが初学者の躓きの石ともなっている。そこで、本講義では、学生諸君の興味をかきたてるために実例を用意し、時間の許す限り判例を取り上げ、事実関係を具体的に紹介することによって、民法と社会との接点を意識しながら、法概念相互の理論的・体系的関係を解明することに力を注ぎたい。民法総則の学習で培った成果(法的思考力・法的判断力、法の精神である正義・衡平・博愛を尊重する心情)は、民事法のみならず他の法律学学習においても広範囲に応用可能なので、是非真剣に学習してほしい。
【学習到達目標】
民法総則上の諸制度の意義・要件・効果の概略を理解し、日常生活で生起するトラブルを、法的に解決しうる糸口を、発見・提示できる能力を養うことを目標とする。
【履修上の注意】
「物権法」(春学期)、「担保法」(秋学期)、「債権法総論」(秋学期)をあわせて履修することが望ましい。
【事前準備学習】
受講に際しては、前回の授業でマーカーを引いた教科書、六法の該当箇所やノートを復習し、本日の授業内容として予告されている教科書の該当箇所を通読しておくことが望まれる。復習・予習に2時間程度は必要であろう。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『民法講義1総則[補訂第2版]』 髙森八四郎 法律文化社 2009年 |
参考書 | 『民法判例百選Ⅰ総則・物権[第6版]』 有斐閣 2009年 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
学習内容の理解度をはかるため、数回の授業内小テストを行い、また学期末に筆記試験を行う。小テスト20%、学期末テスト80%の割合で評価を行う。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 民法 -その意義と立法過程 | |
2 | 民法の指導原理 | |
3 | 権利の主体(1)-自然人 | |
4 | 私権の享有 -権利能力 | |
5 | 能力 -意思能力・行為能力 | |
6 | 成年後見制度 | |
7 | 住所・居所・不在者 | |
8 | 失踪宣告 | |
9 | 権利の主体(2)-法人 | |
10 | 法人の本質・その種類と設立 | |
11 | 法人の権利能力と法律行為責任 | |
12 | 法人の不法行為責任 | |
13 | 法人の機関 | |
14 | 権利の客体 -物の意義と分類 | |
15 | 法律行為概説 -法律行為と私的自治 | |
16 | 法律行為と法規範 | |
17 | 法律行為と公序良俗 | |
18 | 法律行為の構成要素 -意思表示 | |
19 | 意思の不存在の意思表示(1)-心理留保・通謀虚偽表示 | |
20 | 意思の不存在の意思表示(2)-通謀虚偽表示・94条2項の類推適用 | |
21 | 意思の不存在の意思表示(3)-錯誤の意義・要件・効果 | |
22 | 意思の不存在の意思表示(4)-動機の錯誤と要素の錯誤 | |
23 | 瑕疵ある意思表示 -詐欺・強迫 | |
24 | 意思表示の到達と受領・法律行為の無効と取消 | |
25 | 代理総説 -意義と性質・種類 | |
26 | 代理権と代理行為 | |
27 | 表見代理 | |
28 | 無権代理 | |
29 | 条件・期限・期間 | |
30 | 時効制度 -時効総説・取得時効・消滅時効 | |
31 | 定期試験期間 | |
32 | - - - | |