【講義概要】
広い意味の「刑法」ないし「刑事法」の分野は、①狭い意味の刑法、②刑事訴訟法、③刑事収容処遇法や少年法などから成り立っています。現代社会の犯罪と刑罰は、これらの法律によってコントロールされており、①の刑法が「犯罪」「刑罰」とは何か、②の刑事訴訟法が捜査や裁判等の手続上のルールを定めています。さらに、③犯罪の原因や再発防止策(刑事収容処遇法など)を研究するのが、刑事政策ないし刑事学です。近年では、伝統的な刑事政策だけでなく、新たな犯罪現象に対する対策がよく議論されています。そこで、授業では、最近の犯罪現象にも言及しつつ、刑事法上の重要な論点を取り上げて、全体の概観が得られるようにします。まず、「犯罪とは何か」を明らかにすることにウェイトを置きますが、その際にも、具体的な設例にもとづいて、いわゆるネット犯罪や、終末期医療などをめぐる刑事法の役割を考えてみましょう。
【学習到達目標】
まず、犯罪と刑罰をめぐる社会事象に関心をもって、これを法律的な観点から考える習慣を身に付けることが目標です。その上で、現在の法制度では、解決困難とされる各種の課題について、いわゆる近代刑法学の基本原則を踏まえつつ、今後の刑事政策を論じる基本知識を身に付けたいと思います。
【履修上の注意】
受講する際には、少なくとも書籍版の「六法」を必ず持参して下さい(スマホやタブレットのアプリは不可とします)。また、下記の教科書も持ってきて下さい。
【事前準備学習】
事前学習として、毎回の授業に先立って、あらかじめ教科書の該当部分を読んでおいて下さい。また、授業中に聞き取った内容をノートにまとめることで、事後の学習に役立てるようにお願いします。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『事例解説・現代社会と刑法』 佐久間修 啓正社 2000 そのほか、授業中に参照すべき文献については、追って指示します。 |
参考書 | -参考書は、登録されていません。- |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
主として学期末におこなう筆記試験によって評価します(80%)。ただ、授業中に提出するリポートや受講態度を含む平常点も考慮して総合的に決定します(20%)。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 刑法(刑事法)とは何か | |
2 | 現在社会と刑法 | |
3 | サイバー犯罪と明治生まれの刑法 | |
4 | 殺人ドライバーと仇討ち免許 | |
5 | 殺傷事件アラカルト | |
6 | 安楽死と尊厳死 | |
7 | 刑事責任能力と多重人格障害 | |
8 | 特殊詐欺と悪質商法 | |
9 | 企業犯罪と経済犯罪 | |
10 | 性犯罪をめぐる法改正 | |
11 | 少年犯罪と刑事未成年制度 | |
12 | 組織的犯罪処罰法と暴対法 | |
13 | 新たな捜査手法と証拠能力 | |
14 | 裁判員裁判と取調べの可視化 | |
15 | 犯罪者の処遇と再犯の予防 | |
16 | 定期試験期間 | |