【講義概要】
日本の工業化・近代化の過程について、企業経営者・企業家に焦点をあてて検討したい。日本型の企業経営の原型は、明治期の企業経営者にあった。幕末開港、明治維新、産業革命の過程、日清戦争、日露戦争、そして第一次大戦、昭和恐慌から戦時経済へという経済環境の激変のなか、「豊かな発想のもと、新たな事業戦略を練り上げて」、新たなビジネスを切り開いてきた企業家が生まれる。彼らの企業家精神を、その社会経済的条件と関連づけながら、経済分野だけでなく、社会分野においても新たな分野を開拓し、我々の生活を大きく変えていくことになる、その過程をとりあげたい。
ちょうど、アップルのスティーブ・ジョッブズさんが、iPod、やアイフォン・スマートフォンによって、携帯電話・パソコンの革命を引き起こし、ビジネスの分野を根本から変えただけでなく、われわれの消費生活を大きく変えたことは、記憶に新しいが、「戦前においても同様の事態が生じた」のであった。
【学習到達目標】
日本の工業化が可能となった諸条件について習得し、説明できることが目標。併せて、日本資本主義の構造が如何なる国策と企業家的条件によって形作られたのかについても、戦後と比較しつつ理解すること。
【履修上の注意】
講義については、常に、疑問をもって、聴くこと。
【事前準備学習】
前回の範囲を、テキスト、ノートなどによって確認すること。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『日本の経営者』 日本経済新聞社 日経文庫〔日本経済新聞社〕 2009年 |
参考書 | -参考書は、登録されていません。- |
指定図書 | 『日本経営史の基礎知識』 経営史学会編 有斐閣 2004.10 『ケースに学ぶ日本の企業 : ビジネス・ヒストリーへの招待』 加藤健太, 大石直樹著 有斐閣 2013.4 |
【評価方法】
毎回の小テストと期末の試験の結果から評価
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 現代企業史の問題領域 | |
2 | ペリー来航・幕末開港と土佐藩・岩崎弥太郎 三菱の創業 外資との競合 | |
3 | 明治維新の金融事情と安田善次郎 安田財閥の創始者 | |
4 | 明治維新、徳川慶喜と渋沢栄一 日本資本主義の制度づくり | |
5 | 明治維新と住友 広瀬宰平 | |
6 | 住友の銅山事業と伊庭貞剛 社会的責任 | |
7 | 明治維新と三井 三野村利左エ門 | |
8 | 明治工業化と三井 益田孝 | |
9 | 第一次大戦ブームと貿易商社 鈴木商店の浮沈 | |
10 | 第一次大戦ブームと生活革命 小林一三 | |
11 | 電力事業と福沢桃介 経営多角化 | |
12 | 電力事業と松永安左エ門 現代的なビジネスモデル | |
13 | 戦時期自動車産業と豊田喜一郎 | |
14 | 大衆消費社会と松下幸之助 | |
15 | 戦後のモータリーゼーションと本田宗一郎 | |
16 | 定期試験期間 | |