【講義概要】
グローバル社会は国家と国家が対峙するインターナショナルな関係を超越して情報の交流が発生する世界である。とりわけインターネットの情報網が世界を網羅的に一つのネットワークとして構成している現状は、地域文化の固有性やそれぞれの地域における個々独自な文化をつなぐ本来の歴史的過程なしに、文化の接触・交流を促進し、相互に文化的な変容を引き起こす。文化変容の理論や仕組みについては「文化変容論」の講義に譲るが、そのような現代社会にあって、多様な地域を結ぶ文化の交流を、多文化理解や異文化の尊重という文化交流本来の道筋として実現するために必要な文化の定義を明確にするとともに、交流の具体的意味を明らかにし、日本と日本人が体験することのできる多文化接触、多文化交流の実情について考察する。指定されたテキストからの情報を基礎的事実として疑似体験し、それを基にした議論を通して異文化の理解を促進させたい。とりわけ、今年度は生活文化に焦点を当て、生活概念の普遍性と多様性、日常的なを満足させる経済社会的な背景についても議論の俎上に乗せる。
【学習到達目標】
1. 文化発展の地域的な違いと異文化間の交流の現状を理解する。
2. 地域固有な文化情報の把握方法について、文化伝播と政治経済的な地域交流史の両面から理解する。
3. 地球規模の文化の相対的理解を進め、すべてにおいて基本的に対等な文化交流を実現するために必要な地域的視点を理解するとともに、具体的な実践活動へつなげる。
【履修上の注意】
授業に参加するに際しては、講義テーマで事前に提示された内容についての予備的学習を求める。授業中は必要に応じて質疑応答を基にした議論を行うので、適切に対応することが求められる。
【事前準備学習】
毎回、事前に提示されたテキストの該当部分を読み込み、内をの概要を理解して授業に臨むこと。
授業後には、授業内で問題となった事項について自己のまとめをすること。
授業に必要な専用ノートを準備し、上記の予習、復習が系統的に集積されるように努めること。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | -教科書は、登録されていません。- |
参考書 | -参考書は、登録されていません。- |
指定図書 | 『アフリカ文化探検 : 半世紀の歴史から未来へ』 田中二郎著 京都大学学術出版会 2017.7 |
【評価方法】
授業の際の応答、発言、小テストなどを平常点評価とし、全体評価の50%を割り振る。授業最終日以降にレポートを課し、全体評価の50%とし、平常点と合わせて総合評価を行う。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 文化という概念 | |
2 | 文化は生まれ、伝播する | |
3 | 文化の地域固有性と普遍性 | |
4 | 経済活動と文化 | |
5 | 食は生活の基本・食の地域特性 | |
6 | 生活の自由・不自由 | |
7 | 嗜好と選好性 | |
8 | 文化の背景としての社会的諸問題 | |
9 | 文化の背景としての経済構造 | |
10 | 政治と文化の相補性と対立性 | |
11 | 日本文化の特質 | |
12 | 日本文化に認められる交流の痕跡 | |
13 | 文化交流理論の推敲 | |
14 | 文化を担う主体としての地域住民 | |
15 | 文化は越境し、交錯する | |
16 | 定期試験期間 | |