【講義概要】
わが国における福祉実践は、社会福祉の対象者別に立案された制度枠組みのもとに実施されてきた。しかし、社会福祉基礎構造改革により、サービス利用者とその提供者との対等な関係の確立、地域をベースとした総合的な支援、多様な提供主体の参入、サービスの質および効率性ならびに事業運営の透明性の確保、住民の積極的な参加など、新たな方向性が示された。
本講義では、医学・医療の発展とともに理学療法士の業務内容に影響を与える「社会(システム)」について理解を深めるために、社会福祉にかかる概念、歴史、制度・政策について基礎的な知識を修得する。
あわせて、公益社団法人日本理学療法士協会の『理学療法士業務指針』が必須とする、「医療ソーシャルワーカー(MSW)」との連携に資するべく、MSWが担う「相談援助(社会福祉援助技術、ソーシャルワーク)」についての理解を目指す。
【学習到達目標】
・社会福祉の基盤となる現代的な理念(共生、自立、エンパワメントなど)について説明できる。
・社会福祉制度を方向づける主要な概念(福祉国家と福祉社会、再分配、セーフティネット、選別主義と普遍主義、扶助原理と保険原理)について説明できる。
・社会保障制度における「社会福祉制度」の位置を説明できる。
・下位分野法(生活保護法、児童福祉法、障害者自立支援法、老人福祉法、介護保険法など)の種類、仕組み、機能を説明できる
・ソーシャルワークの基本的視点(生活モデル)について説明できる。
【履修上の注意】
この科目は「講義(座学)」として位置づけられるが、適宜、「演習」形式を取り入れながら展開する。したがって、講義内で提示するディスカッションやプレゼンテーション課題等について、積極的な取り組みを期待する。
【事前準備学習】
高校までの公民(現代社会・倫理・政治経済)を復習しておくこと。また、本講義のより一層の理解のために、「現代社会と福祉」を履修しておくことが望ましい。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『※指定なし(講義毎にプリントを配布します)』 - - - |
参考書 | 『ウェルビーイング・タウン社会福祉入門』 岩田正美・上野谷加代子・藤村正之 有斐閣アルマ 2013 『社会福祉小六法』 ミネルヴァ書房編集部,編. ミネルヴァ書房 『社会福祉の動向』 社会福祉の動向編集委員会,編. 中央法規 『知りたい! ソーシャルワーカーの仕事(岩波ブックレット)』 木下大生・藤田孝典 岩波書店 2015 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
受講態度、講義時に示す課題および試験の成績を総合して評価します。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | オリエンテーション | |
2 | 国家の役割と社会保障 | |
3 | 社会福祉の基盤となる現代的な理念(共生、自立、エンパワメントなど) | |
4 | 基本法(少子化対策基本法、障害者基本法、高齢社会対策基本法など)の構成 | |
5 | 下位分野法(生活保護法、児童福祉法、障害者自立支援法、老人福祉法、介護保険法など) | |
6 | ソーシャルワークの基本的視点(生活モデル) | |
7 | プレゼンテーション‐わが国の福祉のあり方について‐ | |
8 | 講義の総括および試験 | |