【講義概要】
産業社会学は、技術、労働、生活と深く関わる産業の視点から、社会の成り立ちや有り様、特徴を多面的に考察するものである。
産業社会学の文献はいくつもあり、産業、労働、生活、社会など多様な視点から描かれている。しかし、「産業社会」とは何かについて、深く切り込み、明確に定義したものは、ほとんど見当たらない。Industryには、工場生産、工場で働く人や組織、個別産業などの意味が含まれている。「産業」と訳されるが、「工業」の意味もあり、便宜的に使い分けられてきたように見受けられる。そのことが、産業とは何か、産業社会とは何かという原点への深い洞察にブレーキをかける要因になってきたのではないかと推察する。
産業社会学は、産業の視点から、社会とりわけ産業社会のあり様を多面的に深く考察する。本講義は、現代産業論の成果をふまえ、産業とは何か、生産とは何かを明らかにし、産業社会とは何かを明示する。その上で、産業社会学とは何かを提示する。
さらに現代産業論の視点から社会学にアプローチし、両者の融合視点から産業社会の本質と諸相にメスを入れる。そして、産業社会の発展プロセスと現代像さらに21世紀的課題を、人類史的なグローバル視点と地域に根ざしたローカル視点をクロスさせ、ダイナミックに提示する。
【学習到達目標】
現代産業社会の複雑かつ多様な諸相を、理論と実証の両面から学びとる。
産業および産業社会の定義、さらに人類史的な発展プロセスを理解した上で、産業社会の現代的位置と21世紀的課題への洞察力を養う。
【履修上の注意】
授業には出席し、静かに受講する。学生との対話を図るべく、授業への学生コメントの提出をお願いし、次回の授業につなげるようにしたい。
【事前準備学習】
教科書や配布プリントに基づき、事前事後学習を心がけてほしい。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | -教科書は、登録されていません。- |
参考書 | 『ひと・まち・ものづくりの経済学』 十名直喜 法律文化社 2012 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
学期末試験をベースにするが、平常点(出席・授業態度含む)も15-20%と重視する。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 産業社会学への招待 | |
2 | 産業と社会への循環アプローチ | |
3 | 地球と生命の循環システム | |
4 | 遺伝子・学習・文化・社会 | |
5 | 日本列島の狩猟採集社会にみる技術と文化 | |
6 | 農業の人類史的意味 | |
7 | 定住・農耕社会と循環システム | |
8 | 古代中国の農耕システム | |
9 | 近世ヨーロッパの農耕にみる試行錯誤 | |
10 | イギリスの工業化と「産業革命」 | |
11 | 東アジアの工業化と比較歴史観 | |
12 | 東西半球の交易システム | |
13 | 窒素とリンの工業化と循環システム | |
14 | 品種改良と量産ビジネス化 | |
15 | 「緑の革命」の到達点と21世紀的課題 | |
16 | 学期末試験 | |