【講義概要】
グローバリズムのもと、日本の社会に多くの外国人がはいってきて、ともに働き、生活するようになり、ものの考え方も生活習慣も異なる人々に遭遇する機会が増えた。また、日本人も観光、留学、仕事などで欧米だけなく、アジアやアフリカなど諸外国で暮らす人も増えている。
この講義ではさまざまな異文化体験を通じて、人間を人間たらしめている文化についての理解を深めることを目指す。
文化人類学は、我々とは異なるロジックにしたがって生きている「他者」を理解することを通じて、我々自身についてよりよく知ることを目指している。異なる文化を理解しようとするとき、我々は、この日本文化によって形づくられた自分自身の姿を振り返らざるをえない。
講義の前半では移民について考える。移民の背景には国境を越えやすくなったグローバリゼーションがあるが、それだけなく、経済格差、先進国の労働力不足、紛争と難民など、さまざまな問題を抱えている。移民というと排斥運動のダークな側面だけでなく、異文化交流とあらたな文化創出の未来へつながる側面もある。このように移民問題を多面的に考える。
講義の後半では、経済と文化の関係について、例をあげて解説する。
【学習到達目標】
人間を人間たらしめている「文化」を明らかにすることによって、文化の普遍性と個別性を学ぶ。さらに自分が属する文化、すなわち自文化を相対化することを学ぶ。
【履修上の注意】
ノートの取り方を工夫してください。黒板を写すだけではなく、自分の頭で理解しながらノートにまとめてください。
毎回、講義の終わりに課題を出しますが、丁寧な字で書くこと。内容だけでなく講義への姿勢も、提出物から判断します。
【事前準備学習】
自分の文化を相対的に見ることを心掛けてください。事後学習として、配布資料や講義ノートから講義内容を復習しておくこと。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | -教科書は、登録されていません。- |
参考書 | -参考書は、登録されていません。- |
指定図書 | 『ジェンダーで学ぶ文化人類学』 田中雅一, 中谷文美編 世界思想社 2005.1 『遊動民 (ノマッド) : アフリカの原野に生きる 』 田中二郎 [ほか] 編 昭和堂 2004.4 |
【評価方法】
毎回講義の終わりに課題を出しますので、その提出物の内容から平常点をつけます。期末試験70% 平常点30%
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 文化人類学の目的と独自性 | |
2 | 異文化理解 | |
3 | 民族とは(1) | |
4 | 民族とは(2) | |
5 | 移民の背景 | |
6 | 日本のブラジル交流史 | |
7 | グローバリゼーションと移民 | |
8 | 移民排斥運動 | |
9 | 文化と経済 | |
10 | 贈与交換 | |
11 | 互酬性 | |
12 | 市場とは | |
13 | 市場とイデオロギー | |
14 | 交換の民族誌 | |
15 | 経済人類学 | |
16 | 定期試験期間 | |