【講義概要】
日本の近代法体系は幕末・明治以降西洋近代法を継受することによって成立し、江戸時代までに発達した伝統法体系は崩壊したが、法制度・法理論等の面ではともかく、法実務や法意識等のレベルではなお伝統法の影響が少なからず残り、継受した西洋的法制度・法理論とそれらは混淆しあるいは乖離しつつ近代法史は展開したのであり、その上に現代日本の法文化が形成されているといえよう。この講義では、日本の伝統法の歴史とともに、西洋法の史的系譜について概観した上で、日本近代法の形成・展開過程を跡づけ、その特徴や性格、問題点などを考える。
【学習到達目標】
日本法の主要な法分野の歴史について、正確な基本的知識を備えるとともに、自分自身の法の歴史像を持ち、これを文章化して論じることができる。
【履修上の注意】
法史学は法律学の一部門であると同時に歴史学の一分野でもあり、したがって日本史・世界史に関する基礎的素養が前提となる。
【事前準備学習】
概説的な内容の講義であるから、日本史・世界史に関する基礎的素養があれば、講義内容を理解するための事前準備などはとくに必要ない。むしろ講義を聴いたあとで、興味を覚えたり疑問を感じたりしたことについて、参考書欄に掲げた書物などを読んで、更に勉強を深めていってほしい。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 教科書は使用しない。教材欄には参考書を記載してある。 |
参考書 | 『日本法制史』 浅古弘ほか(編) 青林書林 2010年 『概説西洋法制史』 勝田有恒ほか(編) ミネルヴァ書房 2004年 その他の文献については、講義の中で適宜紹介する。 |
指定図書 | 『江戸の罪と罰』 平松義郎著 平凡社 2010.12 『日本の法を考える : 新装版(UPコレクション)』 利谷信義著 東京大学出版会 2013.8 『日本法制史』 浅古弘 [ほか] 編 青林書院 2010.9 |
【評価方法】
定期試験(論述式)の成績による(100%)。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 1: 序論 | |
2 | 2: 日本の伝統法(1)原始・古代の法 | |
3 | 3: 日本の伝統法(2)中世の法 | |
4 | 4: 日本の伝統法(3)近世法総説 | |
5 | 5: 日本の伝統法(4)近世の国制 | |
6 | 6: 日本の伝統法(5)近世の刑法 | |
7 | 7: 日本の伝統法(6)近世の家族法 | |
8 | 8: 日本の伝統法(7)近世の裁判制度 | |
9 | 9: 西洋法文化の史的系譜(1)大陸法系 | |
10 | 10: 西洋法文化の史的系譜(2)英米法系 | |
11 | 11: 近代日本法の形成(1)総説 | |
12 | 12: 近代日本法の形成(2)憲法 | |
13 | 13: 近代日本法の形成(3)刑法 | |
14 | 14: 近代日本法の形成(4)民法 | |
15 | 15: 結論 | |
16 | 16: 定期試験期間 | |