【講義概要】
生命倫理学(bioethics)は、1970年代に医療や医学研究をめぐる倫理問題について研究する学問としてアメリカを中心にして確立され、全世界に広がっている。人間の生命の問題を取り扱う学問であるため、哲学、倫理学、法学、社会学、宗教など諸学問から得られる知識と知恵を総合して、問題解決に取り組むという学際的な特徴を有している。本講義は、人工妊娠中絶や安楽死や脳死など主に議論になっている諸問題を取り上げ、どのような議論の過程を経て、どのような倫理的判断(法的判決)が下されてきたのかについて、分かりやすい言葉で述べていく。
【学習到達目標】
①生命倫理学における研究の主な流れや倫理的に下される判断基準など基本的知識を習得し、
②諸問題をめぐって多様な解釈と価値観が存在することを学び、
③解決困難な倫理的問題に対して自ら考え、判断する力を養う。
④さらに、人権や命の尊厳について健全な価値観を見につける。
【履修上の注意】
毎回の講義内容をまとめ、自分の意見や感想をノートすることが特に評価につながる。
【事前準備学習】
生命倫理に関するユニークな情報を、書物や新聞やニュース記事などから収集し、期末のレポートの資料として活用することが望ましい。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 指定教科書はなく、必要な資料は授業中に配布する。 |
参考書 | 『マンガで学ぶ生命倫理:わたしたちに課せられた「いのち」の宿題』 児玉聡 化学同人 2013 『生命倫理学を学ぶ人のために』 加藤尚武・加茂直樹(編) 世界思想社 1998 『はじめて出会う生命倫理』 玉井真理子・大谷いづみ(編) 有斐閣アルマ 2011 『実践の倫理』 ピーターシンガー 昭和堂 1999 期末のレポートは参考書などを参考にすることをお勧めする。 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
平常点50%・定期試験(筆記)50%
評価に関しては第1回目の授業の時に詳しく説明する。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | ガイダンス、生命倫理学について | |
2 | 生命倫理の歴史 | |
3 | 生殖補助技術 | |
4 | 出生前診断 | |
5 | 再生医療 | |
6 | インフォームドコンセント | |
7 | 重度身体障がい者の自己決定 | |
8 | 介護における自己決定 | |
9 | 末期患者のケアとQOL | |
10 | 安楽死と尊厳死 | |
11 | 脳死と臓器移植 | |
12 | 医療資源の分配 | |
13 | エンハンスメント | |
14 | 脳と人工知能 | |
15 | 戦時下の医学研究 | |
16 | 定期試験期間 | |