【講義概要】
世界は国境という高いハードルで相互に隔離されることで固有性を保持してきたと いってよいだろう。近年のヨーロッパの経済的統合に端を発した動きは単なる経済協 力にとどまらず政治的共同や集団的安全保障等の軍事的側面までを包括的に統合する 地域原理となっている。それはその域内の権益保護であると同時に他地域に対する国際問題上の優位性を誇示するものでさえある。そのような社会の中の文化交流と文化変容、そして文化創造のプロセスを分析してみよう。授業の方法はオムニバス方式により全15回の授業および試験を行う。
(担当教員)
木村光伸教授 8回 グローバル社会の文化に関わる総論と非西欧的世界から見たグローバル社会とその文化論につ いて講義する。 グローバルな時代は単なる国際化時代とは違う概念で理解されなばならない。それは国家と国家、地域と地域、集団と集団というように人間が歴史的にあるいは恣意的に構築されてきた枠組みの連携や連帯という世界の構造ではなくて、それらを一挙に越境するものである。そういう構造の中でわれわれ現代に生きるものは自らの帰属意識を持たねばならないさてあなたはどのような選択とともにあなた自身の人生をこのグローバルな世界で構築してくことが出来るのか。そのような思いを議論しながら、講義を進めたい。
土屋勝彦教授 7回 木村の講義に引き続き、西欧世界や宗教文化の諸問題について講義する。 綾部真雄ほかの編集による『私と世界』(メディア総合研究所発行のDVD教材)を 使って、とりわけ西欧世界に展開されている文化的社会的諸問題を考える。フラン ス、イギリス、スペイン、ロシア、カナダ、メキシコ、オーストラリアなどの映像監 督が製作した短編映像を通して、西欧世界にはどのような問題があるのか、そうした諸問題に対してどのような解決策が考えられるのか、私たちは西欧世界とどのように向き合っていくべきかなど、身辺の身近な問題と関連付けながら、ともに考えてい く。各テーマごとに資料とワークシートを配布する。また討論時間も設ける予定であ る。
【学習到達目標】
グローバル時代、グローバル社会を生きるいんげんとして必要な世界観を上映するために必要な知識、とりわけ現代社会を分断させてきた歴史的背景と現実社会の動向を見極め、説明できるだけの知識を身につけることが求められる。文化が一つ一つばらばらの物ではなくて人間活動の歴史的な集大成であり、未来を創る源泉であることを国際文化・国際協力の理論と実践を学ぶ基礎的知識として持つことができるように学生自身がなることを目標とする。
【履修上の注意】
出席および授業への積極的参加を求める。
この授業では教師に質問されて「わかりません」とか「知りません」とか、質問に対して「なんですか?」と聞き返すような態度は容認されない。つねに何が問題として語られ、資料が提示されているのかをその場その場で考えることが求められる。
【事前準備学習】
あらかじめ予告された次回授業のなように関する基礎的知識、地域の歴史地理概要、現在の社会で問題になっている話題などを下調べし、討論に参加できるように準備することが必要である。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | -教科書は、登録されていません。- |
参考書 | 授業の中で参考となる図書・資料を必要に応じて紹介するとともに、プリント資料等が配布される。 |
指定図書 | 『アフリカ文化探検 : 半世紀の歴史から未来へ』 田中二郎著 京都大学学術出版会 2017.7 |
【評価方法】
授業に参加するにあたっての授業態度、発言など授業への参加度を評価し(20%)、各分担者が実施する試験の成績(80%)と合わせて評価する。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | グローバル時代を捉える多様な立場と意見 | |
2 | 世界はどのように分割されてきたか | |
3 | 文明というものの正体 | |
4 | 東洋と西洋という構造はどのような立場が創ったのか | |
5 | 人間社会における対立の構図 | |
6 | 生活と宗教 | |
7 | 社会の発展史と自己家畜化論 | |
8 | 今の時代に何を見るか-社会的現実- | |
9 | グローバル化とは何か | |
10 | コミュニティとはなにか | |
11 | アイデンティティをめぐる問題 | |
12 | 差別と意識の問題 | |
13 | 人と自然の対立と調和 | |
14 | 戦争と平和について | |
15 | グローバル社会と人間文化をめぐる総括 | |
16 | 定期試験期間 | |