【講義概要】
高齢者とは何歳からのことを指すのか分かりますか。わが国の定義では65歳以上を前期高齢者、75歳以上を後期高齢者と呼び、2013年1月の時点ではそれぞれ全人口の12.3%、12.0%を占めていました。したがって4人に一人は高齢者ということになり、戦後間もない頃1947年の平均寿命が男性で50歳であったことを考えると、医学、公衆衛生の進歩はすばらしく、老年医学の重要性はきわめて大きなものになったといえます。病院の待合室を思い起こしてください。小児科、産婦人科を除くとほとんどが高齢者といっても過言ではありません。理学療法室もまた然りです。もうお分かりでしょう、老年医学を知らずに医療に携わるほど勇気がある人はいないと思います。
それでは、「老年医学」といって壮年・中年者と区別するのはなぜでしょうか。それは高齢者が壮年・中年者と明らかに違うからです。ではどのように違うのかというと、
(1) 各臓器に加齢に伴う変化が出現します
(2) 病気の治療法、必要な薬の量が違います
(3) 加齢に伴う変化(老化)の進行速度は非常に大きな個人差があります
(4) 高齢者に特徴的な病気があります
(5) 高齢者は沢山の病気を抱えています
等々です。
特に理学療法では高齢者と係ることが多く、終末期医療、介護、福祉も含めた包括的なアプローチが必要です。この講義では、老年医学の中でも、理学療法を計画・施行する上で重要なポイント選んで解説し、老年医学に対する理解を深めます。
【学習到達目標】
加齢と老化について説明できる
老年症候群について説明できる
フレイル・サルコペニアについて説明できる
高齢者の生活機能、QOL、認知機能の評価方法を説明できる
高齢者の摂食・嚥下障害について説明できる
誤嚥性肺炎について説明できる
認知症について説明できる
脳血管障害について説明できる
高齢者に特有な疾患を列挙し、説明できる
高齢者の終末期医療・介護について概説できる
【履修上の注意】
時間の無駄を省くため、集中して講義中に全部理解して覚えましょう。それができるように平易に、大事な部分に集中して講義します。
【事前準備学習】
前回の講義をきちんと復習しておくこと。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『老年医学 系統講義テキスト』 編集 日本老年医学会 西村書店 2013年 |
参考書 | -参考書は、登録されていません。- |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 老年医学総論(高齢者の特徴、老年症候群) | |
2 | 認知・行動障害(認知症) | |
3 | 高齢者で注意すべき疾患1(摂食・嚥下、呼吸器) | |
4 | 高齢者で注意すべき疾患2(循環器) | |
5 | 高齢者で注意すべき疾患3(神経) | |
6 | 高齢者で注意すべき疾患4(腎臓、泌尿器) | |
7 | 高齢者で注意すべき疾患5(運動器)、介護と終末医療 | |
8 | 試験 | |