【講義概要】
情報技術(IT)は、パソコン、携帯電話、インターネットなど、私たちの生活を支える有用な技術となっている。しかし、昨今、情報セキュリティの電子技術やマネジメントに関連する問題だけではなく、電子化された個人情報やプライバシーの保護、ネット上での本人確認、電子商取引の安全かつ円滑な運営、デジタルコンテンツの知的財産権保護、サイバー犯罪(ネット犯罪)への対応、ネット上の言論活動をめぐる様々な問題が発生している。
そこで、本講義では、表現の自由に関する一般的理論をふまえて、マス・メディアと報道・取材の自由の問題、名誉・プライバシーの保護、情報公開に関する問題、個人情報とその保護の問題、情報法と隣接法などについて取り扱う。具体的には、実社会で問題となった実例や判例を紹介し、論点を理論的・実践的に整理・理解しながら、より専門的・複合的な争点や政策的な課題について考察する。ひいては、情報化社会に生きる者として求められる必須の素養や知識を習得し、これからの時代を生きていくために必要な考え方と幅広い教養を身につける。本講義では、情報法の分野で、法学部法学科の3つのディプロマシー(知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性・多様性・協働性)の取得を目指す。
【学習到達目標】
① 情報化社会において、情報と法はどのよう関係にあるかを理解し、情報技術の利用によって発生する法的諸問題を適切に分析・検討することができる。
② 情報化社会における法的課題とは何か、今後はどのような立法的解決が必要かなどを的確に指摘・検討することができる。
【履修上の注意】
毎回、六法を必ず持参してください。なお、講義の内容によっては、市販の六法に掲載されていない法文も出てきますので、インタ―ネットや大型の六法全書を参照するなどして、講義の前後に法文を確認してください。
【事前準備学習】
常日頃から新聞を読み、あるいは、テレビニュースを見るなどして、高度情報化社会における法律問題に関心を持つようにしてください。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 特に教科書の指定はしませんが、『よくわかるメディア法』がお薦めです。なお、授業時には、参考資料(15回講義分)を配布いたします。 |
参考書 | 『よくわかるメディア法』 鈴木秀美・山田健太編著 有斐閣 2011年 『情報法』 宇賀克也・長谷部恭男編 有斐閣 2012年 『レクチャー情報法』 松井修視編 法律文化社 2012年 『メディア判例百選』 堀部政男・長谷部恭男編 有斐閣 2005年 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
定期試験を90%とし、平常点の10%と併せて評価します。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 情報の伝達 (1) 表現の自由と取材・報道の自由 | |
2 | 情報の伝達 (2) 表現の自由と名誉毀損・プライバシー侵害・実名報道 | |
3 | 情報の伝達 (3) 表現の自由と有害表現・営利表現・ビラ配布 | |
4 | 情報の伝達 (4) 放送に関する法制度 | |
5 | 情報の伝達 (5) 通信に関する法制度 | |
6 | 行政情報の公開 (1) 情報公開制度概論(国・地方公共団体) | |
7 | 行政情報の公開 (2) 非公開情報(個人情報・公務員情報・法人情報) | |
8 | 行政情報の公開 (3) 非公開情報(国家公共安全・審議検討・事務事業情報) | |
9 | 個人情報の保護 (1) 個人情報保護制度概論(行政機関・個人情報取扱事業者) | |
10 | 個人情報の保護 (2) 個人情報の収集・保有 | |
11 | 個人情報の保護 (3) 個人情報の管理・外部提供 | |
12 | 個人情報の保護 (4) 個人情報と本人開示・訂正・利用停止請求 | |
13 | 情報化社会と電子商取引 | |
14 | 情報化社会と知的財産権の保護 | |
15 | 情報化社会とサイバー犯罪 | |
16 | 定期試験 | 3 |