【講義概要】
行政法には、民法典のような単独の法典は存在しない。それゆえ、行政法は、無数の法令などから構成されている。本講義では、行政法を貫く様々な法理・法原則について、下記の授業計画に準拠しつつ講義する。具体的には、行政概念を前提とした上で、「行政は法を守らなければならない」という法治主義の原則を理論的基盤としながら、行政裁量をめぐる法のしくみや判例展開について講義する。その過程で、行政法を学ぶうえで不可欠な理論や概念(行政のしくみ、公物、情報公開と個人情報保護など)についても講義する。
【学習到達目標】
本講義では、受講生が、行政概念、法治主義、行政裁量などに関する基本的理論を習得し、それらを判例・学説の展開と関連させて説明することができることを到達目標とする。さらに、受講生が、法治主義と行政裁量について、行政法関係や情報公開などと関連させて説明することができることも到達目標とする。
【履修上の注意】
本講義内容は、行政法総論2の履修内容と関連しているため、行政法総論2もあわせて履修することが望ましい。
【事前準備学習】
[受講前の準備]
・前回までに学習した内容を再確認する。
[受講後の復習]
・当日に学習した内容を、レジュメ、教科書等で再確認する。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『新・基本行政法』 村上武則監修=横山信二編 有信堂 最新版のもの |
参考書 | 『行政判例百選Ⅰ』 小早川光郎=宇賀克也=交告尚史 有斐閣 最新版のもの 『行政判例百選Ⅱ』 小早川光郎=宇賀克也=交告尚史 有斐閣 最新版のもの |
指定図書 | 『行政法読本 第3版』 芝池義一著 有斐閣 2013.3 『行政法の基本 : 重要判例からのアプローチ 第5版』 北村和生 [ほか] 著 法律文化社 2013.3 |
【評価方法】
学習内容の理解度をはかるため、講義中に小テストを行い、学期末に筆記試験を行う。成績評価は小テストと筆記試験を総合考慮し、小テスト20%、学期末試験80%の割合で評価を行う。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 行政概念と行政法 | |
2 | 法治主義(1):行政を拘束する諸原理と法治主義 | |
3 | 法治主義(2):わが国における法治主義の展開 | |
4 | 法治主義(3):行政法の法源と法治主義 | |
5 | 行政のしくみ(1):行政主体と行政機関、行政組織(国と地方自治) | |
6 | 行政のしくみ(2):公務員(国家公務員と地方公務員) | |
7 | 公物 | |
8 | 行政法関係(1):概要、権力関係、非権力関係 | |
9 | 行政法関係(2):特別権力関係論と部分社会論 | |
10 | 情報公開 | |
11 | 個人情報保護 | |
12 | 行政裁量(1):概要、羈束と裁量 | |
13 | 行政裁量(2):行政裁量統制(行政事件訴訟法30条による行政裁量統制) | |
14 | 行政裁量(3):行政裁量統制の展開 | |
15 | 行政裁量(4):不作為の違法 | |
16 | 定期試験週間 | |