【講義概要】
手形法を理解するには、民法の善意者保護制度をはじめ債権譲渡の理解が前提となるの
で、民法(財産法)をよく理解している必要性が高い。したがって、民法をできる限り履修して
いることが望まれる。改正民法が成立したので、これにも手形法との関係で言及する。
本講義では、証券を利用した決済制度について、現実の動きに沿って法律問題を解説する。
信用証券としての約束手形・為替手形を規制する手形法、そして現金代用物としての小切手
を規制する小切手法について、とりわけ約束手形を中心に説明する。このような証券は世界
を駆け巡る性質を有していることから、世界の手形小切手法を共通のものにする必要があり、
世界の手形小切手法の状況についても紹介する。
【学習到達目標】
以下の4点に重点を置く。
①手形小切手法は、民法の債権譲渡のでもあるので、民法の規定を理解すること
②手形小切手法による規制の特色について理解すること
③流通の保護(取引の安全)のために、存在する手形小切手法のルールを理解すること
④判例を通じて実践的に学習することで、現実に手形の機能する場面を理解すること
【履修上の注意】
手形小切手法は民法の特則を定めているので、民法の学修をしていること
が前提で、できるだけ民法関係科目を幅広く履修していることが望ましい。
【事前準備学習】
入門書などで民法の基礎を固めるよう心がけておくこと。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『やさしい手形小切手法(改訂版)』 山下眞弘 税務経理協会 2008年 |
参考書 | 『改正民法要点のすべて』 早稲田リーガルコモンズ法律事務所 日本実業出版社 2017年 参考書欄 『改正民法要点のすべて』は分かり易いので、購読することを勧めたい。
その他、講義の中で、適宜紹介する。
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指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
小テストその他平常点で成績を評価し、定期試験は実施しない。
各回の小テストの実施時期や配点の詳細は開講時に説明する。
なお、小テストの実施にあたっては、事前に通知する。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 手形小切手法の現状―世界的統一の夢と現実 | |
2 | 約束手形、為替手形、小切手の比較―有価証券 | |
3 | 法律行為としての手形行為の特色 | |
4 | 手形行為の成立要件―記載事項 | |
5 | 手形行為をする能力―権利能力と行為能力 | |
6 | 手形行為の完成時期―手形学説(手形理論) | |
7 | 他人による手形行為―代理と代行 | |
8 | 無権限者による手形行為―無権代理と偽造、変造 | |
9 | 手形小切手の譲渡方法―裏書の効力 | |
10 | 手形取得者の保護―善意取得 | |
11 | 手形取得者の保護―手形抗弁 | |
12 | 手形の支払 | |
13 | 白地手形 | |
14 | 手形関係と原因関係 | |
15 | 手形行為独立の原則ほか残された問題 | |
16 | 定期試験週間 | |