【講義概要】
民法学習の際、物権変動での登記の重要性については、十分認識したわけであるが、不動産登記についての規定は、ほとんどを不動産登記法にゆだねられている。不動産登記法は登記手続を定めるので、一種の手続法といえ、技術的色彩の強い法律である。
とはいえ、本講義では手続面ばかりでなく、登記の実体法上の効力から検討を始めたい。不動産登記の効力について、基礎的な理解から始め物権法との関係-特に対抗問題について判例まで検討範囲を広げる。公信力の問題を考察し、公信力が原則としてない我が国法制度下における登記を通じた不動産権原の保護・取引安全の実現方法を理解してもらいたい。これらの理解を前提として、登記手続各論に入っていく予定である。
サンプルを通じた登記簿の見方も、基本パターンから、やや複雑な権利関係が入っているパターンまで学習する。
【学習到達目標】
物権法や担保法学習の際、登記という文言は頻繁に出てくる。またその有無・先後が権利擁護の決定打になることは自ずから習得できたであろう。しかし、いかに登記によって取引安全が図られるか、何故に登記が優先基準になり得るか、実は登記手続のあり方をきちんと理解して、初めて納得ができるものである。この納得を得るために15回の講義を行う。この納得が到達目標である。
【履修上の注意】
物権法・担保法の基礎知識の確認を行いながら登記法の講義を進めることを心がけますが、単位をとれていない人は習得がとてもむつかしい。単位の取れていることを前提条件とする。
きちんと学習をしている人には物権法の練習にもなり、問題もといていきますので、有益な科目になろう。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 教科書については開講時に指示する。 |
参考書 | 『別冊法学セミナー新基本法コンメンタール不動産登記法』 鎌田薫・寺田逸郎 日本評論社 2010年 『不動産登記法権利編(新訂3版)』 今上益雄 東京法経学院出版 2004年 『別冊ジュリスト不動産取引判例百選(第3版)』 有斐閣 2007年 『民法を知る1』 中村昌美 八千代出版 2015年 六法全書 法学六法では不十分です。 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
期末試験による評価と受講態度の総合評価による。
小テストを実施するのでその得点も加味する。
頻繁に問題演習をするので、その結果も加味する。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 不動産登記とは | |
2 | 不動産登記記録の見方 | |
3 | 登記の種類 表示登記 権利の登記 本登記、仮登記 | |
4 | 登記請求権 中間省略登記 | |
5 | 登記の効力1 推定力 | |
6 | 登記の効力2 対抗力1 | |
7 | 登記の効力3 対抗力2 | |
8 | 登記することができる権利 | |
9 | 登記所及び登記官 | |
10 | 登記記録 | |
11 | 登記手続 登記の申請 | |
12 | 登記手続 登記識別情報 事前通知制度 | |
13 | 登記手続 本人確認 | |
14 | 登記手続 申請却下事由1 | |
15 | 登記手続 申請却下事由2 | |
16 | 定期試験週間 | |