【講義概要】
アウグスティヌス(AD.353~430)という人物は、哲学や神学などの学問を中心に広く知られている、キリスト教を代表する哲学者かつ古代教会教父である。彼はプロティノスという新プラトン主義者に大きく影響される一方、彼の思想においては、ギリシア古典文化とキリスト教という二つの文化が合流し、ローマ帝国のラテン語圏の教会とギリシア語圏の教会という二つの教会伝統が一緒に伝承されるといわれている。このような幅広い背景をもつ彼の思想は、中世、近代、現代に至るまで数多くの著名な思想家たちに影響を与えてきた。本講義は、このアウグスティヌスの思想について分かりやすく解説し、彼の思想が現代を生きるわれわれにどのような意味を投げかけるかについて考察する。
【学習到達目標】
①アウグスティヌス哲学の基本構造をまとめ、
②彼を通して映し出されるキリスト教世界について理解を深め、
③彼の思想だけでなく、彼に影響を及ぼしたプラトン哲学と聖書から、哲学的に物事を考え、善く生きる知恵を学ぶ。
【履修上の注意】
期末テストは毎回の講義内容の中から出題。
【事前準備学習】
アウグスティヌスの生涯に関する資料を調べて読んでおくとよい。
講義内容をノートにまとめておくこと。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『聖書(新共同訳)』 日本聖書協会 毎回の講義に聖書を持参すること。 |
参考書 | 『アウグスティヌス:告白』 アウグスティヌス 中央公論社, 1968. 『アウグスティヌス伝(上・下)』 P.ブラウン 教文社 2004 『アウグスティヌスを学ぶ人のために』 金子晴勇(編) 世界思想社 1993 『うつ物語―プラトン『国家』の洞窟寓話の現代的解釈』 文ジョンホ かんよう出版 2015 『純粋な夜の向こうへ―新たな出発のために』 文ジョンホ かんよう出版 2014 『純粋な夜の向こうへ―新たな出発のために』は、レイプで生まれた主人公の男性が自分の存在を肯定する過程を描いている哲学的小説として、アウグスティヌスの思想をストーリの中に幅広く独創的に生かしていることが一つの特徴であるといえる。そして、『うつ物語―プラトン『国家』の洞窟寓話の現代的解釈』は、うつ病改善を希望してプラトン思想を用いている哲学的童話であるが、講義内容への理解度を高めると考えられる。 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | ガイダンス | |
2 | 信仰と理性 | |
3 | 自己存在と幸福 | |
4 | 自由意志と悪の根源 | |
5 | 時間論と神の似像 | |
6 | 愛 | |
7 | 魂の不滅と復活 | |
8 | 祈り | |
9 | 正義 | |
10 | 観想 | |
11 | 秩序 | |
12 | 可変的存在と不変的存在 | |
13 | 理性の病 | |
14 | 予定論 | |
15 | まとめおよび淵と救い | |
16 | 定期試験期間 | |