【講義概要】
臨床心理学(Clinical Psychology)は、行為障害や精神障害および様々な人生の悩みなど、人々の示す不適応問題からの回復を助ける応用心理学の一分野である。心理学的・精神医学的知見と技法を用いて諸問題をアセスメントし、治療的・援助的介入を行う実践的学問である。 1896年アメリカのウィトマー(L. Witmer)が発達障害児の援助のためにペンシルベニア大学に「心理クリニック(Psychological Clinic)」という部門を開設して以来、臨床心理学は、2度の世界大戦による戦争神経症(現、PTSDの一種)への対応が求められる社会歴史的な状況の中でその学問的体系が作られ、発展してきた。昨今、臨床心理学はその応用範囲がさらに広がっており、個人の精神衛生の問題のみならず地域社会の精神衛生における心理教育的役割も強調されるようになった。
授業では、臨床心理学の歴史的変遷の中で登場した様々なトピックスを取り上げながら、主に発達障害や精神障害に関する臨床心理学の基礎知識、心理アセスメントの理論と実践、心理療法(カウンセリング)の理論と実践について概観する。また、臨床心理学における最新動向についても紹介する。
【学習到達目標】
1)臨床心理学的基礎知識を学習することを通して、受講者の精神衛生に関する自己理解を深める。
2)精神障害に対する知識を学習することによって、精神障碍者に関する誤った知識や偏見を見直す。
【履修上の注意】
授業中に行う小課題へのレポートや授業内容の理解を確認するリアクションペーパなども期末評価の対象となるので、真面目に取り組んでほしい。
【事前準備学習】
授業前に教科書の指定箇所を事前に読んでくること。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『こころのケアー臨床心理学的アプローチー』 池田勝昭・目黒達哉 共著 学術図書出版社 2010 授業は、教科書に掲載されている資料を使用して進められる。 |
参考書 | 『臨床心理学』 丹野 義彦ほか 有斐閣 2015 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 臨床心理学の定義とその対象 | |
2 | 臨床心理学の歴史Ⅰ:催眠と無意識 | |
3 | 臨床心理学の歴史Ⅱ:世界大戦と戦争神経症 | |
4 | ストレスと健康との関連:PTSDを中心に | |
5 | 臨床心理学の基礎知識Ⅰ:発達と人格 | |
6 | 臨床心理学の基礎知識Ⅱ:人格と適応 | |
7 | 健常と異常の基準および成因別の精神障害の理解 | |
8 | 心理臨床における心理アセスメント方法 | |
9 | 心理面接の進め方 | |
10 | 心理療法の理論と技法Ⅰ:精神分析知的立場 | |
11 | 心理療法の理論と技法Ⅱ:行動論的立場 | |
12 | 心理療法の理論と技法Ⅲ:現象学的立場 | |
13 | コミュニティ(地域社会)における精神衛生とその支援 | |
14 | 臨床心理における新たな動き:根拠に基づく心理療法 | |
15 | 臨床心理における倫理 | |
16 | 定期試験期間 | |