【講義概要】
ディプロマ・ポリシーにあげている理学療法士の資格を得るために必要な知識、技術、能力の獲得をめざすカリキュラム・ポリシーに基く学修の中で、解剖学は医学の知識と技術の基礎となる人体構造について学修する科目であり、この科目を履修することで理学療法士の資格を得るために必要不可欠な人体構造の基本的知識を修得することができる。
カリキュラムの上では解剖学A、解剖学Bに分けているが、解剖学Aと解剖学Bの講義内容は連続していて、まず始めに人体を構成する基本的要素である細胞ならびに組織ついて学習する(組織学総論)。ついで、細胞がいくつかの種類に分化したのち、同種の細胞が集合して組織がつくられ、種々の組織が集合して器官が形成され、同系統の器官が集まって器官系ができてひとつの個体ができる、という人体の基本的な成り立ちを学習する(発生学)。これらの知識を基礎として、解剖学Aと解剖学Bでは運動器(骨格と筋肉)の構造と働きについて学習する。
講義で学習した人体構造の知識は文字、言葉、平面的な図などから得た知識であって、どちらか言えば観念的な机上の知識であり、そのままでは必ずしも生きた知識とはならない。講義で得た知識を標本や模型を観察したり動かしたりすることにより、学習した事柄が具体性をもつ生きた知識となるために実習が組まれている。
【学習到達目標】
組織学総論と発生学では、人体の基本構成要素である細胞と組織を系統的に理解し、説明でき、受精卵からひとりの個体ができるまでの過程の概略を説明できる。
運動器(骨学と筋学)の講義と実習では骨格と筋肉について学習する。それに先立ち、位置や向き、方向を表す基本的な専門用語を覚える。骨学では骨の構造、骨の連結様式、関節の構造と動きと分類、骨格を構成するすべての骨について形態的特徴と人体における位置を説明できる。また、筋学では筋肉の構造と収縮のしくみ、個々の筋肉の起始、停止、作用、支配神経を理解し、体の様々な動きとそのときに働く筋肉の作用を説明できる。
【履修上の注意】
医学、医療を学ぶものにとって解剖学は必須の知識であり、人体構造の知識なくして、リハビリテーション医学を含む臨床医学の修得はあり得ない。ここで学ぶ人体の精巧な正常構造は、その後の基礎医学、臨床医学の修得のための基礎知識となる。したがって学習する内容、修得するべき知識の量は膨大であり、これがカリキュラムの中で比較的多くの時間が解剖学に割かれている理由でもある。しかし限られた時間でそのすべてを講義することは不可能なので、学生は自ら進んで学習し、知識を深める努力が必要である。
実習では標本や模型を利用するが、標本の中には人体から採取したものもあり、故人の生前の意志に基づいて提供された標本も含まれている。したがって、学生は見知らぬ多くの方々の崇高な意志によって提供された標本で勉強させていただくことを忘れてはならない。感謝の念をもち、篤志の方々の尊い意志に応えるよう、学習に取り組んでもらいたい。
【事前準備学習】
モデル・コア・カリキュラムに1年間の解剖学の学習内容と到達目標を「解剖学コアカリキュラム」として提示しているので、学習の指標、参考にすること。各学期の始めには講義予定表を配布するので、それを参考に教科書等で予習をして講義・実習にのぞむこと。また講義の進行に合わせ、必要に応じてコアカリキュラムの抜粋を学習項目として配信するので、予習・復習の指標とし、講義にも持参して臨むこと。解剖学の修得には、日々の学習(予習と復習)を怠らないことが何よりも大事である。解剖学実習室は講義時間外は学生に開放しているので、放課後の時間に標本や模型を活用して自ら積極的に学ぶ習慣を身につけることも大切である。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『解剖学 第4版 標準理学療法学・作業療法学』 野村 嶬 編 医学書院 2015 『骨学実習アトラス』 高井省三 日本医事新報社 2010 学習は講義と実習が中心である。講義を補完し、さらに学生自らが知識を整理し深めるために、教科書、参考書としてあげたこれらの本を利用して学習すること。 |
参考書 | 『解剖学アトラス』 越智淳三 訳 文光堂 1990 『日本人体解剖学 上巻(19版)』 金子丑之助 南山堂 2000 『解剖学(1)』 森於菟 他著 金原出版 1982 『トートラ 人体の構造と機能 (日本語版) 第4版』 GJ TORTORA, B DERRICKSON、桑木共之 他共訳 丸善 2012 学習は講義と実習が中心である。講義を補完し、さらに学生自らが知識を整理し深めるために、教科書、参考書としてあげたこれらの本を利用して学習すること。 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
評価は試験(配点80%以上)、その他(配点20%以下)で行う。その他の評価項目はスケッチ・レポートなどの課題、授業・実習態度などである。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 細胞と組織 | |
2 | 疎性結合組織 | |
3 | 軟骨組織 | |
4 | 血液とリンパ | |
5 | 筋組織 心筋・平滑筋 | |
6 | 神経組織 グリア | |
7 | 骨の構造、骨の発生 | |
8 | 関節の構造と種類 | |
9 | 骨学・骨学実習 2 脊柱 | |
10 | 骨学・骨学実習 4 胸郭 | |
11 | 骨学・骨学実習 6 上肢帯 | |
12 | 骨学・骨学実習 8 上腕・前腕 | |
13 | 骨学・骨学実習 10 前腕・手 | |
14 | 骨学・骨学実習 12 骨盤 | |
15 | 骨学・骨学実習 14 大腿・下腿 | |
16 | 骨学・骨学実習 16 下腿・足 | |
17 | 骨学・骨学実習 18 頭蓋概観 | |
18 | 骨学・骨学実習 20 脳頭蓋 | |
19 | 骨学・骨学実習 22 頭蓋底 | |
20 | 骨学・骨学実習 24 顔面頭蓋 | |
21 | 筋学総論 | |
22 | 筋学2 脊部の筋 | |
23 | 筋学4 胸壁の筋 | |
24 | 筋学6 横隔膜 | |
25 | 筋学8 上肢帯の筋 | |
26 | 筋学10 上腕の筋 | |
27 | 筋学12 前腕・手の筋 | |
28 | 筋学14 下肢帯の筋 | |
29 | 筋学16 大腿の筋 | |
30 | 筋学18 下腿・足の筋 | |
31 | 試験 | |
32 | 試験と総括 | |