【講義概要】
現代において経済は大きく揺れ動き、さまざまな問題が生じている。その問題の原因を探ると、経済社会システム全体、さらには近代社会という時代全体の問題に突き当たらざるを得ない。つまり、経済をよりひろく現代社会の文脈全体から見ることが不可欠なのである。
経済社会システムにおいては、戦後西側諸国を中心に展開されてきた、市場経済を基調としつつ国家が経済的安定を保証する経済システムである「福祉国家」が行き詰まり、それを乗り越え、新たなシステムを構築することが求められている。システム全体から見直さなければ、現代の経済問題は解決出来ないのである。本講義では、福祉国家という従来の経済システムが、なぜ現代において出現し、どのような限界を露呈し、そしてその限界を乗り越えるためにはどのようなシステムへと向かうべきなのか、といった問題を考察する。さらには、そうしたシステムの問題は、根本的には、近代社会という時代の本質に深く根ざしたものであり、それゆえ、根本的な解決には、近代社会そのものを乗り越えるという視点が求められることになる。つまり、現代社会の文脈において経済を考えるためには、結局、歴史全体の枠組みの中で現代を位置づけなければならないのである。
本講義はこのように非常に広い問題関心のもとで経済について考察するが、こうした視点を獲得することで、学生各自が研究テーマとするさまざまな現代の諸問題についてもより深く洞察する力を身につけることができるはずである。
【学習到達目標】
現代経済社会の特徴とその問題の本質を理解する。
これからの社会経済のあり方を自分の頭で考えるための基礎力をつける。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『現代の経済社会と福祉社会の展望』 足立正樹編著 高菅出版 2013 |
参考書 | 『現代経済政策論』 丸谷冷史他編著 中央経済社 2005 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
試験 60% 平常点 20 % レポート 20%
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 現代社会における経済:イントロダクション | |
2 | 現代の定位 | |
3 | 自由主義の構想 | |
4 | 自由主義の限界 | |
5 | 福祉国家体制の成立 | |
6 | 福祉国家の政策体系 | |
7 | 新自由主義の政策思想 | |
8 | 新社会主義の政策思想 | |
9 | 福祉国家体制の理念と現実 | |
10 | 福祉国家の危機と限界 | |
11 | 近代経済社会と経済倫理 | |
12 | 福祉社会の経済倫理的基盤 | |
13 | 福祉社会における新たな動き | |
14 | 福祉国家から福祉社会へ | |
15 | 講義総括 | |
16 | 定期試験期間 | |