名古屋学院大学シラバス


                シラバス

シラバス 詳細

【時間割】

学期曜日時限科目名開講期キャンパスペア単位年次教員名科目ナンバー
2限考古学入門秋A名古屋 21黄 名時AX1352

【授業情報】

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講義概要

 歴史学の一分野を構成する考古学とは過去の人間が残した物質資料を読み解く学問である。これは実際の遺物・遺構・遺跡の調査・研究をとおして過去の人間活動、即ち昔の人々の生活や社会さらには行動・思想などを総体的に復原し解明する営みであり、それは我々自身の記憶をたどる作業でもある。近年、歴史学の新しい方向として、考古学と文献史学の協力による新たな歴史像が追究されている。

 水稲栽培と都城造営技術・製紙術などで知られる隣国の中国大陸では、最古の夏王朝の時代からおよそ4000年の間に各地に幾多の王朝が誕生し、特色ある豊かな文化が形成されてきた。それらは互いに影響を与えつつ多様な展開をとげ、世界に冠たる中国文化を育んできた。そして、日本をはじめ近隣諸国や地域にも絶大な文化的影響を及ぼしていった。

 授業では、主として夏から唐に至る歴代の王朝に焦点をあて、それぞれの特色が凝縮された代表的な文化財を時代順に紹介しつつ、時に対比しながら多元的にダイナミックに展開してきた中国古代文化のその特質を講授する。物質文化遺産を中心に講義を行い、遺跡や出土資料など多彩な中国大陸の文物&考古を解説していく。

 中国古代の土器・青銅器・玉器・鉄器・金銀器・貨幣・竹簡木簡・帛書・陶磁器・陶俑・石刻・画像石・仏教彫刻のほか、銅鏡・壁画・建築・建造物などの中から適宜題材を取り上げる。複眼的視座から多角的実証的に検討を加え、文献史料からだけではうかがい知れない各時代の社会活動の実態や都市生活・庶民生活の実像に迫る。
 
 また、日本と大陸文化との繋がり及び対比の観点から、縄文・弥生~飛鳥・奈良時代の文化財も部分的に扱う。古来、日本人が強く憬れ刺激を受けてきた中国文化は、日本文化を生み出した源泉とも言われるが、例えば、奈良・正倉院の宝物と同一主題の中国の文物とを比較してみると、その時代の日本文化の様相やルーツが鮮明に見えてくる。

 教室では図版史料のほかに、『中国博物館』『正倉院寶物』等のVTR映像を用い、視覚的情報によって中国の歴史文化遺産を身近に感じ、理解しやすいようにしていきたい。



【学習到達目標】

 毎回、講義後にレポートを書くことにより講義内容がきちんと把握できるようにする。

 半期の講義を通して、考古学および中国と日本の文化財・歴史文化遺産、並びに日本列島の東アジアにおける地理的・文化史的位置について一定の基礎知識が得られることを目標とする。

 なお、この「考古学入門」の授業では「古代の中国とその物質文化遺産」をテーマに講義を行い、現代中国については春学期開講のNGU教養科目「中国文化入門 ―近現代の中国とその伝統文化―」で講授する。




履修上の注意

 出欠は教室のカードリーダーで読み取りCCSで登録・集計するので、受講生は授業時に必ず学生証を携帯し自己責任で管理すること。学生証を忘れた場合は当日申し出ること。過去形の出席の届け出は認められない。

 初回講義から欠席のカウントをする。遅刻二回で欠席一回とする。15分以上の遅刻・退席は欠席扱いとなる。この授業では公欠・病欠・就活欠席など一切認めておらず、1/3以上の欠席で失格となるため特に留意すること。必ず名簿順の座席表に従って着席し、授業中の入退室・携帯・私語・化粧はすべて禁止する。

 毎回の授業で文章力をテストする。ハードルがやや高いため、作文力に自信のない者は、事前に講義テーマについて下調べをし、自分の考えを書くためのトレーニングをしておくこと。



【事前準備学習】

 高校で習った中国各王朝の歴史とその文化的特色を、事前に復習しておくことが望まれる。

 受講生は中国の遺跡を実際に見学できなくても、日本国内各地の博物館・美術館などを訪れ、文物&考古に関する遺物・遺品・文化財・物質文化遺産に触れる機会を自ら見つけることが望ましい。

 中国を直に訪ねるチャンスがある場合には、アプローチの一つとして歴史の舞台を自ら歩いてみるとよい。現地で歴史書の記載の由来を自分の目で確かめ、さらにそこで記録されることのなかった歴史の裏側や史実の痕跡を見出すことができればベストである。



【教材】

※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
  図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書プリント資料を配布(「夏殷文化的考古学研究」黄名時訳 山川出版社『夏殷文化の考古学研究』 など)
参考書『中国文化史大事典』 黄名時ほか 大修館書店
『中国文明の謎 ―中国四千年の始まりを旅する』 NHK「中国文明の謎」取材班編著 NHK出版
『中国考古学概論』 飯島武次 同成社
『「破鏡(重圓)」の伝承とその習俗 ―漢六朝隋唐の副葬半折鏡―』 黄名時 名古屋学院大学外国語学部論集 6-2
『考古学でつづる世界史』 『考古学でつづる日本史』 藤本強 同成社
「長安古橋交流文物展 図版解説」黄名時訳 香川県瀬戸大橋架橋記念博覧会協会『長安古橋交流文物展』図録カタログ              「隋唐時代の鏡文化 ―銘文鏡の特徴とその盛衰をめぐって―」黄名時 名古屋学院大学論集 言語・文化篇 25-2
指定図書-指定図書は、登録されていません。-

評価方法

 平常の授業態度と毎回の小テスト評点(50%)および学期末試験(50%、持込不可の論述式筆記試験、講義に即したテスト問題、解答文字数400字×4問)の成績で評価する。

 毎回講義の最後にテストを課し、授業内容について感想・意見・論評・質問等を答案用紙に書いてもらい文章力を評価する。用紙の半分以下しか書いていない答案、400文字に満たない答案は評価対象外であり、失格となるので特に注意すること。

 字数は原稿用紙一枚分(400文字)以上を目安とし、答案は、講義内容全般にわたって論評するものとする。講義テーマの一部分しか論及していない答案や配布資料の丸写しは大減点となるので留意すること。



【講義テーマ】

回数テーマテーマURL
1考古学と物質文化遺産(学問の方法論&講義概要)
2太古のシルクロード&新疆・小河墓遺跡とその出土遺物
3新石器時代の黄河文明と夏王朝(中華の源流と宮廷儀礼)
4殷王朝時代の考古遺跡と出土文物(卜字の出現と青銅彝器)
5周王朝時代の考古遺跡と出土文物(漢字の流出・伝播と王朝交代&金文)
6秦始皇帝の“中華”帝国と華夷秩序(遺跡・遺物からの考古学的実証)
7漢代の考古遺跡と出土文物(金縷玉衣をまとった皇帝)
8中国大陸と弥生時代の日本列島(稲作の広がりと金属器)
9「三国志」時代の出土文物と卑弥呼の鏡(倭国と邪馬台国)
10六朝時代とヤマト王権(和の五王&三角縁神獣鏡と前方後円墳の分布)
11隋唐時代の考古遺跡と出土文物(陝西省歴史博物館の文物・文化財)
12遣唐使時代の中国と日本(遣唐使船&留学生井真成等の墓誌と足跡)
13唐長安城(国際都市の都城設計と西市交易品&朝貢品・下賜品)
14唐朝工芸と奈良の宝物(正倉院収蔵の中国将来至宝)
15中国国家博物館(中国考古遺跡出土の文物宝庫)
16定期試験期間