【講義概要】
中国といえば古代の水稲栽培と都城造営技術のほか、四大発明の製紙術・活字印刷術・羅針盤・火薬の技術開発が挙げられる。これらの発明がなかったとしたら、西洋の発展はあり得なかったとも言われる。
今日中国で思い浮かべるのはパンダとニーハオ・シェシェ以外に、中華・餃子・シューマイ・チャーハン・ラーメン(中華そば)・辣油・唐揚げ・酢豚・うどん・豆腐・マーボ・肉まん・チャーシュー・ちまき・北京ダック、お茶、お箸…など飲食関連のものが多い。
実は日常浸透している文化として、漢字・漢語・漢文、書道・印章、筆・墨・紙・硯、囲碁、漢方薬・ツボ・鍼灸・薬膳、陶磁器、マージャン、易占い、漢訳仏教、儒教、三国志・西遊記、シルクロード、気功・カンフー・少林寺・太極拳、胡弓、えと(干支)・暦、九九、桃の節句・端午の節句・七夕祭り・お盆・お月見・重陽の節句・正月元旦などの年中行事…、と枚挙にいとまがない。
欧州ほどの広大な国土にEUの約2倍、日本の10倍もの人々が暮らす多民族の中国は、前3世紀より19世紀半ばに至るまで東アジア周辺国に強大な政治的・文化的影響を与えた超大国であった。東アジアは古代から近代に至るまで常に中国を中心に展開し、日本・韓国(朝鮮)・琉球とベトナムその他東南アジア諸国など周辺の国々は時に衛星国として位置づけられ、その傘下にあった。2000年間にわたった華夷秩序および朝貢・冊封体制として知られるものである。
隋唐時代には日本からも20回にわたって遣使が派遣された。エリートの日本人留学生や学問僧が命がけで荒海を渡り、あこがれの中国の厖大な文物や文化を懸命に吸収して最先端の技術と知識を持ち帰り手本とした。すべてを唐風にすることを最大の目標とし、大陸文化を徹底的に模倣しコピーして国家としての体制と制度を整えていった時代である。先進国中国は日本にとってすべてを備えた最高の教科書であり、今日のアメリカをはるかにしのぐ途轍もなく大きな存在であった。
21世紀の現在に至るまで日本では中国文化のエッセンスが忠実に継承され、周りには中国文化が満ち溢れている。
【学習到達目標】
中国とはどのような国なのか、中国語とはどのような言葉なのか、悠久の歴史と雄大な国土の中で育まれてきた大陸文化の特質を解説し、今日の中国社会に対する理解を深める。受講生が中国の伝統文化と中国の現状について基礎的な知識が得られることを目標とする。
講義では、中国の文化的バックグラウンドとなる伝統文化と、最新事情や今のトレンドを取り上げるとともに、併せて今後の日中関係と東アジアの共生について考えてみる機会としたい。
教室ではVTRなどの映像資料を用い、目と耳からの情報で現在の生きた中国の姿を感じ取ることができるようにしていきたい。
【履修上の注意】
毎回小テストとして、講義後にレポートを書くことにより講義内容がきちんと把握できるようにする。
この授業では主として新しい中国―「近現代の中国とその伝統文化」を講義テーマとし、古い中国については秋学期の開講科目「考古学入門 ―古代の中国とその文化遺産―」の授業で主に扱う。
出欠は教室のカードリーダーで読み取りCCSで登録・集計するので、受講生は授業時に必ず学生証を携帯し自己責任で管理すること。学生証を忘れた場合は当日申し出ること。過去形の出席の届け出は認められない。
初回講義から欠席のカウントをする。遅刻二回で欠席一回とする。15分以上の遅刻・退席は欠席扱いとなる。この授業では公欠・病欠・就活欠席など一切認めておらず、1/3以上の欠席で失格となるため特に注意をすること。
必ず名簿順の座席表に従って着席し、授業中の入退室・携帯・私語・化粧はすべて禁止する。
【事前準備学習】
日頃より新聞・テレビやインターネットなどで中国関連の情報を入手し、中国の社会や文化に関する知識を積極的に吸収するようにしてほしい。
毎回授業最後に文章力をテストする。ハードルがやや高いため、作文力に自信のない者は、講義テーマについて下調べをし、自分の考えを書くためのトレーニングをしておくこと。
*戦後の今日の国際秩序は、戦勝国(米英仏中露)の国連常任理事国5カ国が大きな影響力をもっている。このうち、欧米諸国以外では唯一中国のみが国連常任理事国になっている。東アジアの歴史は古代から現代にいたるまで常に中国を中心に展開してきた。中国史について事前・事後の学習が必要となる。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | プリント配布 |
参考書 | 『中国文化史大事典』 黄名時ほか 大修館書店 『日中逆転 膨張する中国の真実』 日本経済新聞社 日本経済新聞出版社 『漢民族と中国社会』 橋本萬太郎 山川出版社 『中国の暮らしと文化を知るための40章』 東洋文化研究会 明石書店 『東洋経済史』 林善義ほか ミネルヴァ書房 『中国の衝撃』 溝口雄三 東京大学出版会
『中国語の表現』 林善義 大盛堂書房
『現代中国を知るための44章』 曽根康雄、藤野彰 明石書店
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指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
授業態度と毎回の小テスト評点(50%)および学期末試験(50%、持込不可の論述式筆記試験、講義内容に即したテスト問題、解答400文字×4問)の成績でもって評価する。
毎週講義の最後に小テストを課し、授業内容について受講者に感想・意見・論評・質問等を答案用紙に書いてもらい文章力を評価する。400文字に満たない答案は評価対象外であり、失格減点となるので特に注意すること。
字数は少なくとも原稿用紙一枚分(400文字)以上を目安とし、答案は、講義内容全般にわたって論評するものとする。講義テーマの一部分しか論及していない答案や配布資料の丸写しは大減点となるので留意すること。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 中国文化理解へのアプローチ(講義概要) | |
2 | 日中文化交流史 ―唐長安城と遣唐使― | |
3 | 中国文明の進化と停滞 ―明代・永楽帝前後― | |
4 | 中国の社会と人 ―北京の街角・大学・音楽― | |
5 | 中国の伝統文化 ―旧正月・食と住・婚礼― | |
6 | 中国の文化的価値観 ―国民性と社会性― | |
7 | 日中の懸け橋(中国で活躍する日本人)&中国エリート教育 | |
8 | 中国ブランドの成長&新人類バーリンホゥ | |
9 | 中国の映画事情 ―電影革命の衝撃― | |
10 | 中国の婚活事情 ―『非誠勿擾』(北京語映画)に見る― | |
11 | 膨張するチャイナパワー ―世界を駆ける中国マネー ― | |
12 | 中国の企業文化 ―中国人ボスの商習慣― | |
13 | 中国の巨大ネット通販 ―アリババ・グループ― | |
14 | 超大国中国の光と影 ―復興するスーパーパワー― | |
15 | 中国の武術と少林寺 ―カンフースターの登竜門 ― | |
16 | 定期試験期間 | |