【講義概要】
この授業は講義形式でおこなわれる。
グローバル化の中で起こった世界金融危機(リーマン・ショック)では金融市場の混乱のみにとどまらず、多くの先進諸国では景気後退に見舞われています。日本ではデフレからの脱却をめざし、アベノミクスの名のもと大胆な金融緩和と財政政策、さらに景気回復のための成長戦略を模索し始めました。
証券市場では大きな構造変化(日本版ビックバン)が進みましたが、今後円高是正、雇用・賃金の改善が進み、経済の好循環が実現するのかこれからの一年間は今後の日本経済の運命を決定づける大切な一年間となります。
日本経済の潤滑油としての金融市場のなかで証券マーケットはどのような機能を果たしているのか、その背景、経緯も見ながら証券市場を具体的に論ずるとともに、経済環境の変化の中でこれからどう変わっていくべきかその方向性についても考察します。また2014年から始まった投資優遇制度NISAはなぜ導入されたのか、日本が目指す金融立国の仕組みについても考えてみたい。
今年誕生した米国のトランプ政権はグローバル化の流れに逆行する政策を掲げています。今後どのような展開を見せるのか大いに興味を引く事態となっています。
授業では経済の大きな動きの中で企業が生き残りを賭け、効率的なファイナンスや企業買収等、さまざまな経営手法を用いている現場の具体的な事例を調べ、それぞれの手法がなぜ選択されたのか、どのように評価されているのか考える力をつけたい。
【学習到達目標】
①近年の日本経済は予算収入のかなりの部分が国債発行に頼るような脆弱さの中にあります。経済成長力を高めるためには家計部門の豊富な金融資産をいかに活用するのかが重要なポイントになってきました。貯蓄から投資への流れがなぜ必要なのか、理解を深めたい。②厳しい経済環境の中で企業は企業戦略を支える直接金融に大きな関心が集まり始めている。特にM&Aの活用は「企業成長のための時間」を買う効果もあり、今後も拡大が見込まれています。様々な企業買収の実際を学びたい。③証券ビジネスの世界では投資家保護のため、多くの義務も負います、企業の社会的責任(CSR)等、企業社会の新たなテーマについても考察する力を養いたい。
【履修上の注意】
この授業では毎回、学生諸君の意見を求めるようにしています。次回の授業テーマについてシラバスで確認して、予習をしてください。
【事前準備学習】
証券市場では「明日の経済を読む」目が必要です。日々実社会で起こっていることがそのまま、明日の世の中を変化させていきます。新聞・TVニュース等に目を通してください。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 特に教科書は指定しません。授業はプリントによります。 |
参考書 | 『ベーシック証券市場論』 福光實・高橋元編著 同文館出版 平成16年 授業の中で理解を深めるために多くの本を紹介します。(なるべく廉価な文庫、新書版)諸君が将来経験する様々な出来事に対処するための参考になることを期待します。 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
課題・レポート(必須60%)、小テスト(20%)、授業中の質疑応答への参加度(20%)
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 株式会社の成立と直接金融 | |
2 | ベンチャーキャピタルとIPO | |
3 | 上場審査制度(形式審査と実質審査) | |
4 | 新規上場会社の横顔と上場準備の実際 | |
5 | ディスクロージャー制度とIR | |
6 | 企業再編とM&A(Ⅰ) | |
7 | M&A(Ⅱ)(M&Aの実務) | |
8 | MBOと企業再生 | |
9 | 企業の社会的責任とSRI | |
10 | 証券ビジネスとビッグバン | |
11 | バブル経済とリーマンショック | |
12 | 証券行政とIOSCO | |
13 | 国際収支発展段階説とNISA | |
14 | 株価評価と証券投資 | |
15 | 証券市場を取り巻く経済環境 | |
16 | 定期試験期間 | |