【講義概要】
「社会あるところ、法あり(Ubi societas, ibi ius. )」という古い法諺があるように、法とは人間が共同して社会生活を営む上で不可欠の社会規範です。その法の中でも「最高法規」とされているのが憲法です。憲法は、私たち一人ひとりが社会の中で人間として生きていくために必要な自由・権利を保障し、そしてそれらが脅かされないようにするための政治のルールと国家の基本的なしくみについて定めた原理であり、歴史の中で獲得されてきた成果です。この講義では、日本国憲法のいわゆる「人権」規定に定められた個人の権利や自由が、どのような内容で、どのように保障されているのか、そこで争われている問題点は何かなどを裁判例や憲法学説を用いて解説します。その上で、各講義テーマにおいて「人権」はどのように保障されるべきかを受講者に考えてもらいます。
【学習到達目標】
①新聞やテレビのニュースで扱われる憲法関連の事例を理解できるようにすること。
②それらの事例をただ単に把握するだけではなく、自分なりの見解を含めた上で多角的に考察できるようにすること。
③日本国憲法が試験科目として必要とされる国家試験等を受験する学生にとって、基本的な知識や考え方を身に付けるようにすること。
【履修上の注意】
①事前に配布する教材や資料を読んだり、適宜課される課題に取り組むなど十分な予習・復習が必要です。十分な予習・復習をせずに単位の取得だけを目的とする学生は受講しないでください。なお、全授業の3分の2以上出席する必要がありますので、6回以上欠席した学生は、期末に行われる定期試験を受けることができません。
②早退・遅刻は原則として認めません。また、授業中の私語は厳禁とします。他の受講学生の授業を受ける利益を侵害することになり、また、授業妨害になる場合もありますので、厳しく注意します。場合によっては退室を命じ、その回以降の受講を認めません。
③携帯電話・スマートフォンなどの着信音を鳴らしてはなりません(授業中の通話も一切認めません)。
④授業時間中の教室の出入りを禁じます。ひとたび教室内に入ったら、授業が終わるまでは教室を出ることはできません。
⑤最新版の六法を持参してください。
【事前準備学習】
(1)教科書を事前に読み、読めない文字や分からない言葉を辞書などで調べるなどして分かるようにしておいて下さい。
(2)指示された判決(の要旨)を事前に読んでおいて下さい。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『憲法1(第6版)』 渋谷秀樹・赤坂正浩 有斐閣 2016年 教科書が改版された場合は、最新版を入手してください。 |
参考書 | 『憲法判例集(第11版)』 野中俊彦・江橋崇編 有斐閣 2016年 ※初回授業で紹介します。 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
定期試験(70点)+授業中に行われる小テストおよび授業の事前事後に出される小課題ならびに平常点(30点)をもとに、憲法の基礎知識や法制度・手続の正確な理解、法的思考の習熟度により総合評価します。なお、授業への出席は、原則として単位認定資料に含めません。また、6回以上欠席した学生は、定期試験を受けることができません。
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | Introduction--憲法を学ぶ意味 | |
2 | 人権保障の一般原則①──人権とは何か、人権享有主体. | |
3 | 人権保障の一般原則②──人権の適用範囲、制約原理 | |
4 | 個人の尊重と幸福追求権 | |
5 | 法の下の平等 | |
6 | 精神的自由(1)──思想・良心の自由 | |
7 | 精神的自由(2)──信教の自由 | |
8 | 精神的自由(3)──表現の自由①(保障の意義・内容と規制) | |
9 | 精神的自由(4)──表現の自由②(報道の自由と知る権利) | |
10 | 精神的自由(5)──集会・結社の自由 | |
11 | 経済的自由・財産権 | |
12 | 社会権(1)──生存権 | |
13 | 社会権(2)──労働に関する権利 | |
14 | 社会権(3)──教育を受ける権利 | |
15 | 人身の自由と適正手続の保障 | |
16 | 定期試験期間 | |