【講義概要】
この講義では、現代の言語理論をリードしてきたNoam Chomskyの生成文法(Generative Grammar)の基本を学ぶことになります。生成文法とは、人間が言語(母語)を使う際に用いている(無意識の)知識を解明しようとする科学的試みです。つまり、私たちは言葉を話し、理解することができますが、そのために様々な知識が必要です。その様々な知識の中で、もっとも重要であると考えられる「文を作り出すシステム(=syntax(統語論))」を探っていくというのが生成文法であるわけです。その生成文法の基本的な考え方を学ぶことがこの講義の目的になります。英語学講義2では春学期の講義1に引き続いて、「移動現象」ならびに「制約」について学んでいく予定です。なお、授業にメリハリをつけるために、語学スキル的な要素を(部分的に)取り込みます。
【学習到達目標】
生成文法における移動と制約の考え方が理解できます。スキル的には、和文英訳する基礎力が身につきます。
【履修上の注意】
春学期に開講する英語学講義1を履修していることが履修のための条件になります。(英語学講義1を未履修の学生は受講しないでください。)
生成文法は文法という名が付けられていますが、生成文法はいわゆる学校文法(外国語学習のための文法)とは全く異質のもので、生成文法を学んだからと言って英語の文法がよく理解できるようになるものではありません。履修者はその点にくれぐれも気をつけてください。つまり、本当に、「人間とは何か?」、「ヒトにとって言語とは何か?」を知りたい学生(知的好奇心のある学生)でないと、ついてくることができません。なお、座席を指定し、毎回出席をとりますが、すべて出席したからといって、このコースの単位が保証されるわけではないことに注意してください。
【事前準備学習】
シラバスをよく読んでください。授業前には、その週に扱う和文英訳の問題を予習してきてください。授業後は、講義の部分を復習してください。その際に疑問に思ったことは次の週に質問することを薦めます。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 『文法から攻める英作文のための15章』 山内・他 英宝社 2006年 7章、8章、9章、10章、11章、15章を扱います。 |
参考書 | 『現代英語学へのアプローチ』 山内・北林編 英宝社 2014年 図書館2階の指定図書コーナーに足を運んでください。 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【評価方法】
平常点 15% テスト(小テストを含む)85%
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | オリエンテーション:生成文法の考え方とUG | |
2 | 講義1の復習:句構造規則 | |
3 | 補文構造と補文標識 | |
4 | 階層性 | |
5 | 句構造規則の限界:不変化詞 | |
6 | 句構造規則の限界:話題化 | |
7 | 変換規則の導入 | |
8 | 変換規則:深層構造と表層構造 | |
9 | 文法のモデル:Aspectsモデル | |
10 | 時制 | |
11 | Affix Hopping | |
12 | 移動規則:Wh移動 | |
13 | 移動と制約 | |
14 | 文法の全体像とUG | |
15 | Review | |
16 | 定期試験期間 | |