【講義概要】
世はコンピューター社会と言われ、その技能が重宝される時代であるが、そうした役に立つ知識は他所で学んでいただくことにして、本講義では、実用性を離れ、かような現代社会成立の背景となった西洋哲学の一端に触れるゆとりの時間を持っていただこうと思う。
西洋哲学と言ってもその領域は実に広大で、そのすべてを網羅することは徒に散漫になるだけである。そこで、その中でもアポリア(難問)と言われてきた定番のテーマに絞って話を進めてゆきたい。まず春学期は「心身問題」を取りあげる。これは「心」と「身体」のあり様、関係を巡る思考である。君たちも目で見、手で触れられる体と、形のない心がどうつながっているのか、不思議に感じたことはないだろうか。古来より現代まで、人間はその不思議についてあれこれと考えてきた。コンピューターというものも、いわば人間の精神活動の具現化された一つのモデルである。そこには当然、心をどう捉えるかという思想が反映されている。この古くて新しい問題を、心身二元論の代表的哲学者デカルトを中心に、古代ギリシア哲学から現代の認知科学まで辿ってゆきたい。その試みは必ずや現代社会の本質を理解する一助となってくれるはずである。
【学習到達目標】
表面的なことでなく本質を深く考えることを知って欲しい。
【履修上の注意】
特にないが、内容はかなり抽象的なので、その点に留意しておくこと。
【事前準備学習】
とにかく一方的な受け身の姿勢ではなく、自ら考える気概を持って臨んでほしい。でなければ、この講義はあなたにとって何の意味もなかろう。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | なし |
参考書 | 『心と身体の哲学』 スティ―ブン・プリ―スト著 ; 河野哲也[ほか]訳 勁草書房 1999.4 |
指定図書 | -指定図書は、登録されていません。- |
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | 心身二元論 デカルト われ思う、ゆえにわれあり | |
2 | 心身二元論 デカルト 心と体の関係は | |
3 | デカルト以前 古代ギリシア哲学 | |
4 | デカルト以前 中世ルネサンス | |
5 | デカルト以後 スピノザ | |
6 | デカルト以後 バークリー | |
7 | デカルト以後 ヘーゲル | |
8 | デカルト以後 フッサールなどなど | |
9 | 現代思想 ラッセル | |
10 | 現代思想 ヴィトゲンシュタイン | |
11 | 現代思想 ストローソンなどなど | |
12 | 認知科学、脳科学 | |
13 | 日本の心身論 | |
14 | 残されている課題 | |
15 | まとめと総評 | |
16 | 定期試験期間 | |