【講義概要】
産業革命以降のヨーロッパの経済発展を概観し、イギリスとドイツの産業革命の比較を行う。その後のドイツ社会の発展とナチス・ドイツ成立の経過について概観する。さらに、戦後の冷戦の成立とそれに対する西ヨーロッパの対応を検討し、独仏和解によるヨーロッパ統合の意味を述べ、大陸ヨーロッパのEUへの発展と通貨統合に至る過程を概観する。続いてドイツ史における民族問題について概要を説明し、スラブ人、ユダヤ人、トルコ人を中心とするアラブ人を巡る問題をドイツ経済史との関連で説明する。最終的にドイツが難民問題で苦悩する現状を説明し、グローバリゼーションの歴史的意義について概観する。
ヨーロッパ文明の自由と生産力の際限のない拡大による普遍性の発揮とナチス・ドイツの悪魔性を対比することによって人間の歴史の可能性と限界を理解し、カリキュラムポリシーにある「市民としての教養」や「豊かな人間性」の意味について考える授業を目指す。
【学習到達目標】
ヨーロッパの近代以降の経済発展について、近隣諸民族との関連で理解することを目指す。近代ヨーロッパが、現代において統合を実現した過程で近隣諸民族との関係をどのように展開したかについても理解するように務める。さらに、21世紀の諸問題についての理解に役立つような見解についても、経済史の立場から提供することを目指す。
【履修上の注意】
毎回ミニッツペーパーを出題し、その答案の中でより優れたものを次回の講義で取り上げて具体的に解説し、授業の理解の向上に努めている。歴史はできるだけリアリティのある理解を目指すべきなので、毎回授業の冒頭で世界と日本のニュースを質問し、日本と世界のニュースの違いを確認した上で10分間、ドイツ公共放送のテレビニュースを視聴し、現代世界の現状をを確認する。履修生の皆さんはできるだけ新聞を読み、テレビのニュースを視聴し現代世界の問題に関心を持つようにしてもらいたい。
【事前準備学習】
イギリス産業革命、三十年戦争、ナポレオン戦争、ドイツ三月革命、1871年ドイツ国家統一、第一次世界大戦、ナチス、ヨーロッパ統合、ヨーロッパの難民問題について調べておくこと。
【教材】
※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
教科書 | 講義内容をプリントして渡す予定である。関連する図像や地図等をパワーポイントで説明することを予定している。 |
参考書 | 『西洋経済史』 岡田康男 八千代出版 1995年 『現代ヨーロッパ経済史』 原輝史・工藤章 有斐閣 1996年 |
指定図書 | 『エレメンタル欧米経済史』 馬場哲 [ほか] 著 晃洋書房 2012.4 『欧米経済史 : 資本主義と世界経済の発展 改訂新版(放送大学教材:1594419-1-0411)』 藤瀬浩司著 放送大学教育振興会 2004.3 |
【評価方法】
試験60% 平常点40%(ミニッツペーペー30%、授業態度10%)
【講義テーマ】
回数 | テーマ | テーマURL |
1 | イギリス産業革命の意義 | |
2 | 工業化の各国比較 | |
3 | ドイツ産業革命の特質 | |
4 | 20世紀前半のドイツ経済 | |
5 | ナチスの台頭とドイツの敗退 | |
6 | 第二次世界大戦後のドイツ | |
7 | 奇跡の復興と独仏の和解 | |
8 | ヨーロッパ共同体とドイツ | |
9 | 統一後のドイツ経済 | |
10 | 通貨統合後のヨーロッパ | |
11 | ドイツにおける民族問題:スラブ人 | |
12 | ユダヤ人問題とヨーロッパ | |
13 | ドイツ史におけるトルコ人問題 | |
14 | ドイツ統一の精神史 | |
15 | ヨーロッパ統合と主権国家の問題 | |
16 | 定期試験期間 | |