名古屋学院大学シラバス


                シラバス

演習指導概要 詳細

【時間割】

学期曜日時限科目名開講期キャンパスペア単位年次教員名科目ナンバー
4限国際文化演習(3年)通年名古屋 43柴崎 全弘WB3101
4限国際文化演習(3年)通年名古屋 43柴崎 全弘WB3101

【授業情報】

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主題

ヒトの認知特性について実験心理学的に検討する



指導方針概要

ヒトの認知特性を実験心理学的に検討するとは、例えばこういうことです。パソコンの画面上にアルファベットのOをたくさん表示し、その中に一つだけQを混ぜておきます。そして仲間外れを探させると、比較的容易にQを発見することができます。今度は逆にQをたくさん表示しておいて、その中にOを一つ混ぜておきます。すると、Oを発見するのは非常に難しくなります。このような実験は視覚探索課題と呼ばれており、見つけるべきターゲットとそれ以外の妨害刺激を逆転させると発見の難易度が変化する現象は探索非対称性と呼ばれます。ではこの実験をアルファベットではなく、何かの写真で行うとどうなるでしょう? ヘビの写真と花の写真で実験すると、ヘビの中から花を見つけるより、花の中からヘビを見つけるほうが速くなります。この傾向は白黒写真で実験するとさらに顕著になります。また、ヘビとキノコ、ヘビとコアラ、ヘビとカエル、ヘビとイモムシなど、様々な組み合わせで実験しても、やはりヘビを見つけるほうが速くなるのです。ヘビ恐怖症の人や逆にヘビが大好きな人で実験するとどうなるでしょうか? 恐い毒ヘビがたくさんいる地域で生活しているアフリカのサン人や、ヘビがいないグリーンランドで生活しているイヌイットの人たちではどうなるでしょうか? また実験室で生まれ育ち、ヘビの存在を知らないニホンザルではどうなるでしょうか? 実験の結果、いずれの場合でもヘビは速く見つけられることが分かっています。以上の実験から、どうやらヒトはヘビに対して優先的に注意を向ける性質をもっているということが言えそうです。

長々とヘビの写真を使った視覚探索実験の話をしてきましたが、ヘビ以外の写真を使った実験を考えることもできます。大人の顔と赤ちゃんの顔ではどちらが速く見つけられるでしょうか? 実験参加者が男性の場合と女性の場合では反応に違いが表れるでしょうか? 出産経験のある女性とない女性で比較するとどうなるでしょうか?・・・いろいろ実験できそうです。同性の顔と異性の顔ではどちらが速く発見できるでしょうか? 発見の速さは顔写真の魅力度によって変化するでしょうか? 人種の違いも影響してくるでしょうか? こちらに視線を向けている顔写真と視線を外している顔写真ではどうなるでしょうか?・・・このようにいくらでも実験を考えることができます。もちろん視覚探索課題以外にも、ヒトの認知特性を調べるためのプログラムはたくさん考案されています。

このゼミでは、みなさん一人ひとりに面白い実験計画を考えてもらい、各自のパソコンを使って実験を実施し、集まったデータを分析して明らかになったことをレポート(卒業論文)にまとめてもらいます。実験のためのプログラムはこちらで作成しますが、興味のある人にはプログラミング言語も教えます。自分の実験計画だけを考えるのではなく、ゼミ生全員分の実験計画を、みんなでアイデアを出し合って考えたいと思います。



【教材】

※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
  図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
テキスト-テキストは、登録されていません。-
指定図書-指定図書は、登録されていません。-

学生に対する希望事項

指導方針概要を読んで面白そうだと思えなかった人や、長すぎて途中で読むのをやめてしまった人は向いていません。たとえば「ホンマでっか!?TV」で得られるような、人間に関する一見どうでもよさそうな知識を獲得することに喜びを感じる人は向いています。また、面白い実験のアイデアをみんなで出し合ってほしいので、ある程度、積極的に発言できる学生が望ましいです。