名古屋学院大学シラバス


                シラバス

演習指導概要 詳細

【時間割】

学期曜日時限科目名開講期キャンパスペア単位年次教員名科目ナンバー
5限専門発展演習1通年名古屋 43髙森 哉子LG3103
5限専門発展演習1通年名古屋 43髙森 哉子LG3103

【授業情報】

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主題

 専門発展演習は、担当者である教員の専門領域の講義で学んだ知識や考え方を、学生が一層深く、かつ体系的に学ぶために行うものと私は考えている。したがって、私が担当している講義に即して、民法財産法固有の問題のみならず財産法と家族法の交錯領域の問題を含めて、個別的テーマについて、判例研究を行いたい。



指導方針概要

 学生諸君の将来の目標が、公務員であれ、各種法曹資格の取得であれ、民間企業への就職であれ、民法を学ぶ意義は、発生する多様な市民生活上の様々な紛争を、衡平かつ妥当に処理する能力を会得することにある。つまり、市民生活を快適にしかも円滑におくるための知識と実力を得るということである。
 紛争を解決するためには、法律解釈(条文解釈)、判例解釈、法律行為解釈(契約解釈)を身に付けなければならないが、社会体験の乏しい学生諸君が紛争の型を追体験できるのは、裁判の積み重ねである「判例」であるから、民法上の各制度が、現実の社会において、いかに生き生きと運用されているのかを現実に知るためには、判例研究を行うことが重要である。判例こそ、いわば「現代社会に生ける法」を知る最も重要な手がかりなのである。
 そのためには、判例とは何かを知っていなければならないし、民法判例研究の方法論を身につけていなければならない。これまで、講義でも、折に触れ、講義内容に関連する判例を解説する際に、判旨だけではなく、時間の許す限り、事案を説明してきたが、私の判例研究は、判例の具体的事実関係を重視するものである。すなわち、我が国に初めて判例研究を導入した末弘厳太郎博士流の判例研究を行うので、演習の初めに、その判例研究の方法論を解説した後に、重要でしかも興味深い判例を取り上げて、受講生に報告させ、活発な議論と検討をすることによって、受講生の法的思考力を鍛錬し、問題処理能力を養いたい。
 ところで、ギリシャ神話の「法の神」は「正義の神」であり、名を「テーミス」という。テーミスは掲げた左手に権利を正しく計るための「天秤」をもち、右手に権利を主張するための「剣」を持つ。現代社会では、一方で秤を持たない剣の横行に泣く者がおり、他方で剣を持たずに秤ばかりに頼ろうとする者がいる。しかし、秤のない剣は裸の暴力であるが、剣のない秤は法の無力である。正しく秤を扱う技術と、正しく剣を振るう力、その両者の均衡がとれてこそ、法の目的である完全な平和は実現される。すなわち、法の精神である「正義と衡平」を求める心の無い者は、法を学んだとはいえない。
 私は、ゼミ受講生に、ゼミでの判例研究を通じて民法を学ぶ楽しさを伝授したいし、民法に強い学生を育てたいと願っているが、同時に、ゼミ生の心のうちに、正義と衡平を求める心情を養いたい。そうであってこそ、混沌とした市民生活を快適にしかも円滑におくるための知識と実力を得ることができるであろう。



【教材】

※指定図書は担当教員が、学生が必読すべきものとして指定する図書のことです。
  図書は図書館に置いてあり、1週間借りることができます。(一部貸出不可の図書もあります。)
テキスト『民法講義1総則〔補訂第2版〕』 髙森八四郎 法律文化社 2014年
『物権法講義〈第1分冊〉〔補訂版〕』 髙森八四郎・髙森哉子 関西大学出版部 2008年
『物権法講義〈第3分冊〉〔改訂版〕』 髙森八四郎・髙森哉子 関西大学出版部 2011年
『民法2 債権法 第二版』 我妻栄・有泉亨・川井健 勁草書房 2007年
 上記は、専門発展演習1・2を通して、2年間、テキストとして用いる。なお、導入民事法の教科書も適宜用いる。財産法と家族法の交錯領域の問題等に関しては、指定図書を参考にしてほしい。
指定図書『代理法の研究』 高森哉子著 法律文化社 2008.2

学生に対する希望事項

 評価は、①平常点(ゼミへの参加意欲、議論への参加、受講態度等)、②報告点(レジュメや報告内容)、③理解度確認のための試験もしくはレポートから、総合的に行う。
 ゼミは、学生生活の中心であり、学びとともに友を得るための貴重な場でもある。日程を考慮して企画された懇親会等のゼミ行事にも、積極的に参加して、人脈を豊かにしてほしい。そのために、合宿(ないし特別補講)、私の自宅での一品持ち寄りパーティー、海外を含めたゼミ旅行を予定している(ただし、後者は国際情勢とゼミ生自体の盛り上がりが前提である)。